ティーンのためのAichi Librarians' Choice
あるく
愛知県内の図書館員が、ティーンのみんなにオススメの本を紹介するよ!第8号のテーマは「いのち」
編集:愛知県公立図書館長協議会ヤングアダルトサービス連絡会
PDFファイルはこちらから→A・L・C あるく 第8号* (冊子印刷用PDFファイル 1212KB)
02 医学・医療
Twitterで「病理医ヤンデル」さんとしてお馴染みの著者による1冊。
病理医とは、採取した病変や細胞から、どのような病気がどれくらい進行しているのか、調べて診断をする専門医のことです。
本書は「病気と平気の線引きは?」「病気ってどうやって決めるの?」など、医者がどのように病名の診断をしているのかや、気になる病気のしくみについて、わかりやすく解説しています。
人体を都市に例えての解説は、『はたらく細胞』と通じるものがありますね。
病院で働く「看護師」。その基礎を作った「フローレンス・ナイチンゲール」という人がいました。
イギリス人の彼女が活躍したのはクリミア戦争をしていた1850年代のこと。当時の病院は、今では考えられないほど不衛生でケガをした兵士たちは放置され苦しんでいました。
苦しむ人を癒したい、という気持ちからナイチンゲールは病院の設備を変え、何度も軍に意見し、兵士を助けた英雄となりました。
生きている人たちに寄り添い、そのために捧げられた彼女の一生に触れてみてください。
感染症の主な原因である「ウイルス」と「細菌」、またそれらを防御するため、からだのなかではたらく「免疫」というしくみについて生命科学者の仲野徹さんがわかりやすく解説しています。コロナウイルスってどんなウイルスなのか。ワクチンと治療薬はどう違うのか。詳しく書かれています。
ウイルスのしくみや治療についてしっかり理解し、病気に立ち向かうため自分自身で判断できる知識を身につけよう!
20世紀初めのアメリカで、致死率の高い伝染病「チフス」をまき散らしたとして、メアリーという名の女性が拘束されました。しかし「チフスのメアリー」当人はいたって元気、症状の出ない「健康保菌者」だったのです。無症状なのに自由を奪われたメアリーと、当時の社会の様子を書いています。
私たちも今、不明点の多い伝染病におびえる社会を生きています。
メアリーの身に起こったことや当時の社会の様子を知り、その意味を考えていくことは、今この社会に生きる中での礎になることと思います。
生殖医療、中絶と胎児の権利、終末期医療と安楽死、クローン技術、脳死と臓器移植といった生命倫理の問題を、高校生を主人公としたマンガと解説で紹介します。よくあるマンガ解説本とは異なり、ストーリーのあるマンガによって、課題を自分のものとして感じながら、マンガの後にある解説によって論点を知り、自分で考えられるようにしています。
「いかに死を迎えるのか」-末期がん患者の自宅で最期の時を過ごしたいとの願いに応えるため、奔走する主人公栗原一止。准教授と治療方針を巡り激しく対立しながらも真摯に命と心に向きあい、協力者を得て、患者の希望を叶えていく姿に胸が熱くなります。病院で死ぬことが一般的な現代において、自宅で治療を受けながら過ごすことの困難さと終末期医療について考えさせられます。医療現場の実態も垣間見ることのできる一冊です。
『神様のカルテ』『2』『3』『0』もあるよ!
みんなが「いのち」について考えるきっかけとなればと思い、命と向き合ってきたかたの本を紹介します。
この本の著者は2万体の死体と向きあってきた監察医のかたです。死と向き合ってきた著者だからこそ、全てのエピソードから命の尊さがひしひしと伝わってきます。みんなの命、一つひとつも本に登場する命と同じように尊いということも感じてほしいです。
今、生きていて楽しいこと、嬉しいことだけでなく、辛いこと、苦しいこと、様々あると思います。それでも、この本を読んで「これからも生きていこう」と思ってくれると嬉しいです。