デジタルライブラリートップページ療治口訣補遺
【医学】 療治口訣補遺
- 書名 療治口訣補遺(りょうじくけつほい)
- 巻数 2巻(欠巻之二)
- 著者名 江馬 藤渠(えま とうきょ)/口授 浅野 春友(あさの しゅんゆう)等/筆記
- 成立 嘉永7年(1854年)序
- 出版書写年 近世末期~明治期写カ
- 数量 1冊 35丁
- 書型(寸法) 半紙本(23.4×16.7cm)
- 注記 書名は内題(目次、巻首題)による。外題(打付書)は「療治口訣」。日本古典籍総合目録では、「療治口訣」のタイトルのもとに「補遺」、「拾遺」、「附録薬方」などをまとめて記載している。 著者名(口授者)は日本古典籍総合目録の統一著者名による。筆記者の読みは推定。
- 内容 美濃大垣藩藩医の江馬元益(藤渠、活堂)(1806-1891)が、治療の標準を示すため語り、門人が書き留めた『療治口訣』(天保13(1842)年)成立の後、12年間の診療の経験をもとに新たに得られた知見等について、再び元益が口授し、浅野春友ら門人が書き留めたもの。
江馬元益は、大垣藩蘭学の開祖と言われる江馬蘭斎(1747-1838)の孫。藩医を務めるかたわら、江戸末期から明治にかけ、祖父の開いた蘭学塾「好蘭堂」において多くの医者・文化人を育てるとともに、随筆『藤渠漫筆』をはじめとする多くの著作を残した。
蘭斎以来明治期に至る江馬家の門人を列記した『江馬家門人姓名録』に、巻首に筆記者として名のある門人も確認できる。このうち序文を書いている浅野春友(謙)は高須藩医となった人物であるが、「濃州高須 浅野元達 又改良甫又譲(ママ)」、「此人懇意申候処ドイツ流ニ転じ不通トナル、軽薄ノ人也」とあり、のち元益のもとを離れドイツ医学に転じたことがわかる。
なお、目次には2巻分の内容が記載されているが、本文の内容は巻之一のみである(巻首に「巻之二」とあるが誤り)。また一部目次の順と異なる場所にある項目(病名)や、記述のない項目がある(目次の巻之二にある「骨槽風」の記述もある)。
内藤記念くすり博物館では『療治口訣補遺』の写本を2点所蔵するが(蔵書番号06354及び36555)、いずれの本も巻之二の部分を含め当館所蔵本の目次にある項目をすべて順序のとおり記載している。
- 序・跋・奥書等 序「嘉永七年甲寅黄鐘 門人 高須 浅野謙春友謹識」
巻首「藤渠江馬先生口授 門人 濃国垂井 吉安三英/同 近嶋 長屋春景/同 高須 浅野春友/勢州下宮 西脇春岡/濃国日坂 小林春松 筆記」 - 蔵書印等 巻頭に「沓県■氏蔵書記」の印。
- 文献 『大垣市史』通史編自然・原始~近世(大垣市,2013年)資料ID:1110665258
遠藤正治「美濃における蘭学展開の性格―『蘭学実験』から『草木図説』へ―」実学資料研究会編『実学史研究』3(思文閣出版,1986年)資料ID:1100710725
遠藤正治「飯沼塾とその門人の動向」田崎哲郎編『在村蘭学の展開』 浅野家略系図を掲載 (思文閣出版,1992年)資料ID:1105973611
『岐阜県教育史』史料編近世(岐阜県教育委員会,1998年)資料ID:1111809808 「江馬家門人姓名録」を収録 - 請求記号 Wラ/490.9/エ2/1-1