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【伝記・系譜】 英傑三国誌伝
- 書名 英傑三国誌伝(えいけつさんごくしでん)
- 巻数 1巻
- 著者名 秋草庵(しゅうそうあん)/著 歌川 貞芳(うたがわ さだよし)/画
- 成立 [弘化5年(1848年)~嘉永3年(1850年)]
- 出版書写年 江戸後期刊
- 数量 1冊 22丁 のど丁付け:(序1丁、口絵1丁は丁付けなし)「二ノ一」…「二ノ二十」
- 書型(寸法) 中本(17.5×12.0cm)
- 注記 書名・よみは『日本古典籍総合目録』による。見返し題も同じ。著者名は『日本古典籍総合目録』の統一著者名。
題箋なし
前見返し「梅窓園画/英傑三国誌伝/秋草庵著」
- 内容 天正期の武将を三国志の人物に見立て、各人の来歴を紹介した絵双紙。いわゆる太閤記物であり、特に『絵本太閤記』と『通俗三国志』からの影響が大きい。
全国の所蔵状況を見ると、『英傑三国誌伝』3編、『英傑続三国誌伝』4集が確認でき、全部で少なくとも7冊刊行されたことが分かる。本書はのど丁付けに二とあることから、二編にあたると考えられる。なお当館ではシリーズ中3冊(初編『太閤秀吉公実伝』、二編『英傑三国誌伝』、続三集『英傑続三国誌伝』)を所蔵している。
※シリーズ構成について (PDF 565KB)
この巻では、織田信長と彼に関連する武将を取り上げ、巻頭の項では、「織田正二位右大臣平信長」を「魏武帝曹操」に喩える。 画面は二段構成で、上段に説明書き(振り仮名付き)、下段に多色刷りの絵が描かれている。
著者の秋草庵は堂号で、人物の詳細は不明。序の作者である南寿山人も同様に不明。 歌川貞芳は号梅窓園、大坂の人、天保~嘉永期に活動した絵師。 - 序・跋・奥書等 序「挙右府信長公事跡換叙(うふのふながこうのじせきをあげてぢよにかふ)」「南寿山人誌」
- 蔵書印等 後ろ見返しに書き入れあり「若原蔵之助」
- 備考 ・彩色口絵1丁あり、画題「織田信長公之像」「木下藤吉郎之像」。この口絵は『絵本太閤記』初編巻之一(寛政9年(1797年)序)の口絵と同一である(ただし早稲田大学所蔵本によれば、『絵本太閤記』口絵は墨摺りで、画題は「正二位小田右大臣信長公像」「木下藤吉郎像」。(https://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/he13/he13_01833/index.html 2020年11月10日確認))。
・『市中取締類集』(文献1)は天保の改革時、幕政改革の一環として、市中取締掛が江戸の市政取締について調査した際の関係書類を類別に編纂したもので、このうち「書物錦絵之部」は出版規制に関する諸記録である。ここに「英傑三国誌伝外壱品取計之儀館市右衛門伺調(嘉永三年十月)」という記録が残っている。これによれば、「一 英傑三国誌伝 初編壱冊 但、小本彩色絵入/一 画本三国誌伝 弐編壱冊 右同断/元大坂町絵双紙渡世 売払人 鉄五郎」とあり、板元は「大坂北堀江市之側絵双紙渡世綿屋喜兵衛」である。この綿屋喜兵衛については、『京阪文藝史料 第5巻』(文献2)に詳しい。 内容は町年寄の伺で、著者や板元の記載がないことと、「作意太閤記抜書を通俗三国志ニ見立、全天正時代之武者名前を顕し候画本」で、天正頃の武者名等を禁ずる幕府申渡に反するため、板元に差戻しさせるべきかどうか伺うもの。裁定は、『絵本太閤記』(文化元年(1804年)に絶板)とは異なり、絵双紙に類するため、絵双紙掛に下げ、町年寄伺の趣旨を掛名主に穏便に申し渡す措置とする、というもの。 - 文献 1.『市中取締類集19 大日本近世史料』(東京大学史料編纂所,1990年)資料ID:1107054269
2.多治比郁夫『京阪文藝史料 第5巻』(『日本書誌学大系 89-5』(青裳堂書店,2007年)所収)資料ID:1109319873
3.『原色浮世絵大百科事典 第2巻』(大修館書店,1982年)資料ID:1102908843 - 請求記号 Wラ/A280/ア13