特徴のある資料の紹介 

 → ○明治期の教科書 その1(はじめに・往来物と「学制」公布)

 → ○明治期の教科書 その3(あたらしい知識・さまざまな教科・参考文献)

■明治期の教科書 その2

2:初めて習う教科書

 ここでご紹介するのは小学校の最初に習う教科書です。

小学教方筌蹄
『小学教方筌蹄』
〔しょうがくおしえかたせんてい〕

小学算術書
『小学算術書』



 寺子屋では、幾人かの生徒がいても、それぞれの進度でそれぞれに学習し、個々に指導を受けていましたが、小学校では集団で一斉に教えるという方法にかわりました。『小学教方筌蹄〔しょうがくおしえかたせんてい〕』『小学教授校本〔しょうがくきょうじゅこうほん〕』は先生用の教授法の本です。集団に教えるための「五十音図」「単語図」「連語図」などの掛図の見本や、実際にどうやって指導するかが書かれています。連語図は、短文練習の入門教材としてつくられたものです。最初に単語を示し、つぎにこれらの単語をもちいた短文をかかげています。
 『小学算術書』『小学読本』は代表的な教科書です。『小学算術書』は算数の教科書ですが、今と違ってたてがきになっています。師範学校編集による『小学読本』は、当時アメリカで著名だったウィルソン・リーダーを翻訳したもので、最も普及した教科書のひとつです。文章は直訳的で、内容やさし絵にも異国的なものが多くなっています。


3:翻訳教科書

 明治初期は、「翻訳教科書」の時代ともいわれているほど、外国の書物が翻訳され、教科書として使われました。特に、江戸時代までなかった教科については、新しく編集するより翻訳したほうが簡単にとりいれられるため、たくさんの翻訳教科書がつくられました。

洛氏天文学
『洛氏天文学』
〔らくしてんもんがく〕

勉強示蒙
『勉強示蒙』
〔べんきょうじもう〕

訓蒙話草
『訓蒙話草』
〔くんもうはなしぐさ〕


 『洛氏天文学〔らくしてんもんがく〕』 『初学人身窮理〔しょがくじんしんきゅうり〕』 『地理論略〔ちりろんりゃく〕』は理科の教科書です。 『勉強示蒙〔べんきょうじもう〕』 『童子諭〔どうじさとし〕』は読み物の教科書です。中には外国の偉人や教訓について書かれています。同様の翻訳書は当時いくつかつくられましたが、代表的なものとしてはベストセラーになった中村正直訳『西国立志編』があります。 『訓蒙話草〔くんもうはなしぐさ〕』は、1867年に刊行された英訳「イソップ物語」を翻訳したものです。


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