郷土資料 展示 




郷土資料展   (第7回)
愛知の歴史人物(戦国武将) 徳川家康展
期間:平成16年12月22日(水)〜平成17年2月27日(日)
場所:愛知県図書館3階 郷土資料展示コーナー(入場無料)


  ○ はじめに
 徳川家康はあいちが生んだ著名な郷土人の一人です。戦国乱世の三河岡崎に生まれた家康は、苦難の末に天下を統一し徳川幕府260年の礎を築きました。今回の展示では、「愛知の歴史人物」第三弾として、徳川家康関係資料を取り上げます。愛知県図書館が所蔵する江戸時代に著された写本類を内容により「松平八代関係資料」「家康伝記関係資料」「家康の遺訓資料」に分けて展示し、併せてそこに書かれた家康の事跡についても紹介します。


 1.松平八代と徳川家康
 松平氏は三河国加茂郡松平郷(現豊田市)を本拠とする一土豪でした。徳川家康の祖松平氏の初代は、伝説によると上野国世良田からやってきた徳阿弥と称する時宗の遊行僧で、松平太郎左衛門信重の娘婿となった親氏です。親氏は江戸時代に編さんされた資料では、清和源氏の流れである新田義季の子孫としています。義季は「得川(徳川)」を名乗ったことから、家康は松平から源氏の棟梁としての姓「徳川」に改めたといわれています。松平氏についてははっきりしないところや伝説の部分も多々あり、全てが史実とはいえません。  初代親氏から家康の父広忠までを「松平八代」と称し、家康が戦国大名へと成長する基礎を形成しました。

 1親氏―2泰親―3信光―4親忠―5長親―6信忠―7清康―8広忠―家康

 初代である親氏の時代は、松平郷に郷敷城を築くなど周辺進出への基盤を固めました。2代泰親(親氏の子又は弟)は、岩津(岡崎)に勢力を伸ばし、3代信光は岩津に城を築き本拠とし安祥(安城)を攻略、子供を各地に配置するなど広く西三河地方に版図を拡大していきました。4代親忠は岩津から安祥に本拠を移し、6代長親は今川氏の三河侵攻に抵抗しました。6代信忠の代には一族譜代が離反し争いを招きましたが、7代清康は岡崎を本拠にほぼ三河全国を勢力下に置きます。しかし、清康が織田信秀を討つため守山(現名古屋市)に出陣中家臣に殺害されたことにより(守山崩れ、勢力は急速に衰退していきました。家康の父8代広忠は一時、一族である桜井松平氏により岡崎城を追われましたが今川氏の支援で岡崎に復帰、以後今川氏に付属することを余儀なくされました。また、織田信秀の三河侵攻もあり松平氏にとって苦難の時代が続きます。こうした状況の中で家康は広忠の嫡男として三河岡崎に生まれました。以後、織田や今川の人質となるなど、家臣ともども長い忍従を強いられることになったのです。しかし、最後には征夷大将軍に任ぜられ、江戸に幕府を開き天下統一を為し遂げました。

 2.主な展示資料の解説

得川記
『得川記』
○『得川記』 30巻 6冊 美濃本 写本

成立年:江戸時代
著 者:不明
内 容:江戸幕府(徳川家)創業記の一つ。第1巻は、「祖先の事」として徳川家遠祖源氏や松平氏6代目信忠までの事柄を記す。第2巻は祖父松平清康、第3から第30巻は家康の一代記にあてられ、誕生から死去、神号贈位までの事が記述されている。  

 

東照軍鑑
『東照軍鑑』
○『東照軍鑑』 32巻 20冊 美濃本  写本

成立年:江戸時代
著 者:不明
内 容:合戦等をはじめとする徳川家康の事跡が記述されている。 「八代記」の巻では初代松平親氏から8代広忠までの家康 先祖の活躍を収めている。「合戦陣場図」の巻では「三州 苅谷表御初陣之図」「元康大高城入兵糧之図」など家康が 関わった合戦場が描かれ興味深い。


大三河志
『大三河志』
○『大三河志』 100巻 17冊 美濃本 写本

成立年:江戸時代
著 者:松平頼寛(1703〜1763)
内 容:天文11年(1542)の徳川家康生誕から元和2年(1616)の死去、後の贈官に至るまで76年間の家康事跡が書かれている。著者松平頼寛は磐城守山藩主。歴史学や儒学に詳しかった。
 

 

御年譜
『御年譜』
○『御年譜』1冊 美濃本 写本

成立年:正保3年(1646)
著 者:徳川義直(1600〜1650)
内 容:『神君御年譜』『家康公御年譜』などともいう。天文11年(1542)の岡崎城にて誕生から元和3年(1617)日光改葬に至るまでの徳川家康生涯を編年で記録したもの。著者徳川義直は初代尾張藩主。

 

参陽松平御伝記
『参陽松平御伝記』
○『参陽松平御伝記』 10巻 4冊 半紙本 写本

成立年:江戸時代
著 者:田畑吉正(1770〜1845)
内 容:徳川家康の祖先である源氏及び松平氏の関係系図、家康の祖父清康、父広忠の伝記、「長沢松平」をはじめとする三河諸松平氏の家伝などについて書かれている。著者田畑吉正は、江戸牛込に居住した浪人で系譜研究家。

 

武徳編年集成
『武徳編年集成』
○『武徳編年集成』 93巻(内16〜19巻欠)17冊 半紙本 写本

成立年:元文5年(1740)
著 者:木村高敦(1680〜1742)
内 容:天文11年(1542)誕生から元和2年(1616)死去するまでの徳川家康一代記(姉川・三方ケ原・長篠・長久手の合戦を除く)が編年で記述されている。偽書の説、諸家の由緒、軍功の誤りなどの訂正に努めた。寛保元年(1741)将軍徳川吉宗に献上される。著者木村高敦は幕臣。

 

家康公御遺訓
『家康公御遺訓』
○『家康公御遺訓』1冊 美濃本 写本

成立年:江戸時代
著 者:伝 徳川家康
内 容:『井上主計頭聞書』『万歳賜』などとも称する。徳川家康が将軍秀忠に与えた訓戒で、駿府において老中井上正就が家康から聞き、江戸城の秀忠に伝えたとされる。家康自身の体験をもとにして政治や人倫などについて説いている。後世、儒者によりこのような本としてまとめられたと言われ、広く世の中に流布した。

東照宮御真筆写
『東照宮御真筆写』
○『東照宮御真筆写』1冊 美濃本 写本

成立年:江戸時代
著 者:伝 徳川家康
内 容:『東照宮御消息』ともいう。家康が将軍職を秀忠に譲った駿府在城時代、秀忠の御台所崇源院に宛てた書状で、家光の弟国松の教育方針について書かれている。家光に比べ「利発」な国松の方をかわいがる秀忠夫人に対し、二男としての立場をわきまえた教育を行うよう述べている。





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