G生き方=行き方を考える
様々な人の生き方が紹介されています。悩みの解決方法のヒントがもらえるかもしれません。あなたは誰に勇気をもらいましたか。
人間の運命 1〜7(芹沢光治良作品集 10〜16) 芹沢 光治良 著 新潮社
【コメント】 人生観が変わります! 初めて読んだ大河小説。人生の師とも仰ぐ芹沢光治良の代表作でもあります。読んだのは20代の後半でしたが、通勤電車の中ではもちろん、仕事中さえ先が気になって……。こっそり読んでいたつもりが同僚にみつかってしまい「何を読んでるの?」の一言から、その人も読まされる破目に。結局、社内の仲良しから、その友人や家族にまで環が広がり、10人ぐらい巡り巡って、文庫本の表紙はぼろぼろに近い状態。 全7巻ですが、言葉が平易なので読書慣れしていない人でも気にならないようです。世代を問わず、皆さまにお薦め。明治末期から戦争直後の歴史の勉強にもなることがポイントです。 (海部郡美和町在住の方からのコメントです) |
哲学ってなんだ 自分と社会を知る(岩波ジュニア新書) 竹田 青嗣/著 岩波書店
【コメント】 ビジネス書です。「いわゆるビジネス書」は、特定の方法論をとりあげた帰納的な経験談で「全部みてない感(俯瞰の不足)」がイライラ感を募らせることが多かった。その多くは、実は既に「哲学」という形式で上梓されていることが多く、真っ当な哲学者なら「哲学は方法論」として記述されていることが多い気がします。ビジネス書に食傷ぎみのサラリーマンにお薦め。帰納の真逆の演繹的アプローチにワクワクするとおもいます。竹田先生のほか、池田清彦先生や、西條剛生先生、梅棹忠夫先生もお薦め。 (名古屋市在住の方からのコメントです) |
坑夫 夏目 漱石 著 集英社
【コメント】 猫、坊ちゃんに次ぐユーモア溢れる読み物です。 漱石はあのお顔に似合わない、茶目気のあるサービス精神旺盛な方だと想像します。 主人公が出逢う周旋屋の男の顔の表現には思わず笑いを誘われます。社会の底辺で生きる人の中にも、すばらしい人格の持主が埋没しているということ。 いずれにしても主人公が立派でないのが面白い。 20代〜30代。生きる道が見つからない人に読んで欲しい。 (春日井市市在住の方からのコメントです) |
飛ぶ教室 ケストナー/作 岩波書店
【コメント】 何度も心をゆさぶられました。 (少年達の)様々な境遇や、多くの人生の物語を通して、著者からの思いやり深い、優しくて誠実な“名言”をたくさん感じ、感動しました。 「かしこさのともなわない勇気は、不法です。勇気のともなわないかしこさは、くだらんものです!」 ずっと記憶に残るような、人生においての色々なことを学べます。そして、「尊い人生」だと、はげまされます。 「勇気と知恵」と思いやり、そして、人生の中の「心」が磨かれる。そんな光の一滴のような本です。 子供だけでなく、大人の方も、きっと、何度読み返しても尊敬できる、すばらしい本だと思います。 (名古屋市在住の方からのコメントです) |
どうぶつたちへのレクイエム 児玉 小枝/著 桜桃書房
【コメント】 とても愛らしい犬たちの写真。でも、その犬たちは動物愛護センターなどで保護され、数日後には処分される犬なのです。その子たちの最後のポートレイトです。最後まで人を信じている、美しい目。残酷な写真は一枚も無いのに、彼らの悲痛な叫びが聞こえてきます。処分される犬たちは安楽死だと誤解されていますが、決して安楽死ではありません。苦しみながら死んでいくのです。 空前のペットブームと言われる中で、このような悲しい実態があることを一人でも多くの人に知って欲しいです。流行のバッグやアクセサリーを買うように、気軽にペットを買って、そして捨ててしまう、そんな無責任な飼い主が一人でも減るように。そして、無責任に売るペットショップが少しでも減るように心から願っています。 (名古屋市在住の方からのコメントです) |
指揮者にミューズが微笑んだ 松尾 葉子/著 論創社
【コメント】 有名な指揮者の方の生きてきた道が若者にもわかりやすく書かれています。 同じようなもの(本)に、 『僕はいかにして指揮者になったのか』佐渡裕著(はまの出版 1995)があります。 (名古屋市在住の方からのコメントです) |
宋教仁の日記 宋 教仁 著 同朋舎出版
【コメント】 100年前の明治期の日本へ留学に来ていた清国人(中国人)青年の日記。 東京で孫文や他の同級生とともに中国革命の準備を始めるワクワクする毎日を書き綴っている。 なれない外国で神経症をわずらい挫折に耐えながら、挫けず情熱と志を持ちつづける生き方に感銘を受ける。 (知多市在住の方からのコメントです) |
ドルチェビータ(仮) 大川 ミセ/著 四谷ラウンド 【あらすじ】 パリに憧れ、会社を退職して留学した、主人公オオハシアユミ。気がつけば、銀行の残高が残りわずか。慌てて母親に相談すると「留学が何の役にたつの?」と問い返される。自分にとって「留学」って何? 【おすすめのポイント】 パリにあこがれた日本人女性5人のそれぞれの留学生活が描かれ、留学について色々と考えさせられます。また、パリでの生活の描写が楽しいです。文章は口語体で書かれているので、構えて読まなくてもスッと言葉が入ってきます。 【こんな人にすすめたい】 留学にあこがれている方。留学をしたことがある方。 |
はい、泳げません 高橋 秀実/著 新潮社 【あらすじ】 四十年以上もカナヅチだった著者が、スイミングスクールに通うことに。 「泳げない人」が書いた体験的スイミングレッスン・ルポ。 【おすすめのポイント】 「泳げる人」ではなく、「泳げない人」の視点で書かれているので、どうして泳げるのか? どうやって泳ぐのか? がよくわかります。読み終わった後、自分も泳げるような気になります。 【こんな人にすすめたい】 泳げない方、泳ぐことが苦手な方。 |
それがぼくには楽しかったから リーナス・トーバルズ/著 小学館プロダクション
【おすすめのポイント】 Linuxの開発者、リーナス・トーバルズの自伝。 フィンランド生まれのコンピュータおたくが、ソフトウェアの設計図にあたるソース・コードを公開する「オープン・ソース」の考えかたのもとに、Windowsに対抗するOS「Linux」をつくり、「名声と冨」(?)も得るサクセス・ストーリー。 「それがぼくには楽しかったから」という表題が、この本のすべてをあらわしている。 |
ぼくとガモフと遺伝情報 ワトソン博士が語るDNAパラダイム誕生の舞台裏 ジェイムズ・D.ワトソン/著 白揚社
【おすすめのポイント】 DNA二重らせん構造の発見者の一人であるジェイムス・ワトソンが記すらせん構造発見とその後日譚。 25歳で大発見をし、30台でノーベル賞を受賞した科学者が、研究競争と恋愛、時にはめをはずした若き日を語る。 自然科学や遺伝情報にさして興味のない人にもおすすめします。 |
「三島由紀夫」とはなにものだったのか 橋本 治/著 新潮社
【あらすじ】 「豊饒の海」四部作をはじめとした三島作品を、新しい視点で分析。 【おすすめのポイント】 ツマブキくん主演で映画化された「春の雪」(「豊饒の海」の第一部に当たります)が話題ですね。映画は未見ですが、原作は確かに面白いのでこの機会に読んでみては。(当館でも数冊所蔵しています。全集1108078096、1108084084など)そしてこの評論も一緒におすすめ。橋本氏特有のレトリックに振り回されます。 【こんな人にすすめたい】 映画「春の雪」を観に行こうかなと思っている人に。 |
グレン・グールドの生涯 オットー・フリードリック/著 青土社
【あらすじ】 天才ピアニストとして一世を風靡した後、演奏会をぷっつりと止め、スタジオ録音を通して演奏活動を行ったグールドの生涯を、多くのインタビューによって紐解く。 【おすすめのポイント】 彼のバッハを聴いたことのある方は多いのではないでしょうか。CDを聴いたら、あまりに独特な演奏なので、一体どんな人なのか興味を持ち、伝記を読みたくなるかもしれません。手始めにこれを。 【こんな人にすすめたい】 ぜひCDと一緒に。(資料の検索をするとき、「資料種別」の「CD」にチェックを入れて、書名に「グレン・グールド」と入れてみてください) |
高慢と偏見(上) 高慢と偏見(下) ジェーン・オースティン/作 岩波書店 【あらすじ】 舞台はイギリスのハーフォードシア。ベネット家には5人の娘がいる。のどかな田園風景広がる土地でおこる、人間喜劇。 【おすすめのポイント】 まるで哲学書のようなタイトルで誤解されがちですが、これはコメディと言ってもいいくらいの、愉快なお話です。 作者はアガサ・クリスティの「ミス・マープル」ばりの観察眼を発揮して、日常の些細な出来事をカラフルに綴ります。大きな事件が起こるわけでは決してないのですが、「こういう人いるなあ」と思わせるところが上手いです。同作者の「エマ(上)(下)」もおすすめ。 【こんな人にすすめたい】 人間観察が好きな人に。 |
無口になったアン夫人 サキ 〔著〕 国書刊行会
【あらすじ】 辛辣なユーモアが随所に見られる短編集。作者の本名はヘクター・ヒュー・マンロウ、第一次世界大戦で戦死した。珍しいペンネームの「サキ」は「ルバイヤート」に由来している。 【おすすめのポイント】 日本ではあまり知られていない気がしますが、短編の名手といえば、サキを押します。どの話も短くて気がきいていて、辛辣な落ちが付いています。 【こんな人にすすめたい】 O・ヘンリーが好きな人ならこちらもぜひ。 |
かちんこちんのムニア アスン・バルソラ 作・絵 徳間書店
【あらすじ】 ときどき心がかちんこちんになってしまうムニア。そんな日は一日中うんと悪い子になってしまうのです。嘘をついたり、うちで飼っている動物を逃がしてしまったり… こころが元に戻ったムニアは不安になります。「みんなもうあたしのことすきじゃなくなっちゃったかもしれない」 さてムニアは一体どうしたでしょう? 【おすすめのポイント】 心にもないことをいってしまったり、ひどいことをしてしまったりして、自分が嫌になってしまうことはないですか?そんな時、こんな風に受け止めてくれる人がいたら…と思わせる暖かい本です。ムニアをとりまく家族の、ユーモアのなかに見える愛情に心をうたれます。特に大人物のおかあさんに注目! 【こんな人にすすめたい】 すべてのこどもと、かつてこどもだったひと、おとうさん、おかあさんに。 |
ミラノ 霧の風景(須賀敦子全集 第1巻) 須賀 敦子/著 河出書房新社
【あらすじ】 著者が若い頃を過ごしたイタリアの、家族・友人たちとの日々。 【おすすめのポイント】 著者が20代の終わりから40代のはじめにかけて滞在した、イタリアにまつわるエッセイが、抑制のきいた見事な文章で綴られます。 私は彼女の文章を読むと、いつも少し心が不安定になってしまいますが、それは彼女の書く物に、かけがえのないものを失ったことへの愛惜の念が込められているせいだと思います。時は返らないのだなあと読むたび実感して、それでも生きていかねばならない人生というものに思いをはせてしまうからでしょう。 3階には全集もありますのでぜひ。 【こんな人にすすめたい】 イタリアに興味のある方。(きっと持っているイメージが変わります) 大切なひとをなくした経験のある方。 |
光に向って咲け:斉藤百合の生涯 粟津 キヨ 著 文芸春秋 【あらすじ】 斉藤百合は、明治24年3月、豊橋に近い石巻村に浪曲師の次女として生まれた。3才の頃、はしか後の栄養不良が原因で突然失明した。盲女性の社会教育をめざす施設「陽光会」を設立するなど盲女性の先覚者として生きた。社会状況をみても、現在ほど理解のない時代に多くの困難をのりこえての活躍には、頭の下る思いです 【こんな人にすすめたい】 視覚障害関係に係わっている人には、是非読んでいただきたい。 |
こころの旅(神谷美恵子著作集 3) 神谷 美恵子 著 みすず書房 【あらすじ】 人は生まれてから、乳児、幼児、学童期、青年期、壮年期、老年期を過ごし、やがて死を迎える。人生を、旅になぞらえ、人生の出発から旅の終わりまでのその時々のこころの特徴を丁寧にたどる。 著者は、精神科医である。 【おすすめのポイント】 年代ごとに、精神的・心理的な特徴がわかる。科学的根拠に基づきながら、著者の暖かなまなざしを感じ、勇気づけられる。 【こんな人にすすめたい】 年代を問わず、すべての人にすすめたい。 |
みにくいおひめさま フィリス・マッギンリー 著 学研 【あらすじ】 ある王国のひとりっこの王女さまはたったひとつのことをのぞけば、せかい一しあわせな王女でした。そのたったひとつとは…みにくいこと。ひとりの女の人がこのきりょうのわるい王女さまを美しくしてみましょうともうしでました。王女はどうやってきれいになるというのでしょう? 【おすすめのポイント】 なんでももっているはずの王女様は、何十枚ものドレスや自分の小ウマを持っていてもちっとも幸せそうではありませんし、絹のような艶のある金髪とバラ色の頬をもっていながらちっとも美しくありません。本当の幸せや美しさってなんだろうと、大人が読んでも考えさせられるお話です。 おはなしに出てくるパンやマフィンもとてもおいしそう。食べ物の出てくるお話が好きな人にもオススメです。 【こんな人にすすめたい】 きれいになりたい人に。 童心にかえりたい人に。 おいしいものが好きな人に。 |
チリンのすず やなせ たかし 作・絵 フレーベル館 【あらすじ】 おおかみのウォーに母親を殺された子ひつじのチリン。かたきを討つためにウォーに弟子入りします。ウォーよりも強くなったチリンは、復讐をとげますが・・・。 【おすすめのポイント】 小さい頃、映画で見てとても印象に残ったお話です。 切ない結末に心うたれます。 アンパンマンとはまた違った、やなせさんの暖かい絵も魅力です。 【こんな人にすすめたい】 普通の絵本に飽きた方へ。子どもだけでなく、大人にもおすすめ。 |
紫のつゆ草:ある女医の90年 養老 静江 著 かまくら春秋社 【あらすじ】 明治・大正・昭和・平成と意志を持って生き抜いた女医の自伝。 【おすすめのポイント】 ベストセラ−「バカの壁」の著者−養老孟司の母親の自伝である。 明治・大正のまだ女性の社会的地位も低い頃、確固たる強い意志をもって生き抜く姿勢は現代の女性の生き方にも充分通用する。 【こんな人にすすめたい】 自分の生き方に不安や疑問をお持ちの女性の方には彼女の強い意志を持った生き方は参考になるかも… |
医学生 南木 佳士 著 文芸春秋 【あらすじ】 東北の地方大学を舞台に医学部に入った4人の医学生の物語。医学部を目指した動機と医学生時代、その後をユーモラスに明るく書かれている。著者の南木佳士さんも医者です。自伝小説かも。 【こんな人にすすめたい】 医学部をめざす人には是非読んでいただきたい。 |
芋っ子ヨッチャンの一生 影山 光洋 著 新潮社 【あらすじ】 著者は「記録写真の鬼」と呼ばれた写真家。終戦直後の食糧難の時代に生まれ5歳2ヶ月で亡くなった三男の賀彦(愛称ヨッチャン)の誕生から死までを300枚余りの写真と文章で綴った写真集。 【おすすめのポイント】 子供の死を悲しむ親の心が写真と、写真に添えられた文章から痛いくらいに伝わってきます。戦後の食糧事情が悪い時代、芋が大好きで芋っ子と呼ばれた ヨッチャン。表紙の大きなサツマイモを抱えた姿が愛らしいです。 【こんな人にすすめたい】 この写真集は著者の影山夫妻の存命中は日の目をみることはありませんでしたが、ヨッチャンの兄影山智洋氏により、戦争を知らない世代に読んでもらいたい、と出版されました。若い人に是非見て欲しいです。 |
明治快女伝:わたしはわたしよ 森 まゆみ 著 労働旬報社 【あらすじ】 「わたしはわたしよ」の副タイトルで表しているように、自分らしく生ききった約50人の明治の女性の略伝をまとめている。 【おすすめのポイント】 一人物が歯切れのよい短文で書かれているので、多忙な方も好きな箇所から短時間で読むことができる。興味を持った人物がいたら、巻末に読書ガイドが載っているので、さらに読みすすめるのもよいだろう。 【こんな人にすすめたい】 近代女性の生き様に興味のある方に。 |
藤山一郎とその時代 池井 優 著 新潮社 【あらすじ】 「楷書の歌声」と称された折り目正しき歌手、藤山一郎。 岡本太郎とともに学んだ慶応幼稚舎、音楽学校、流行歌手時代、南方を慰問で回った戦中戦後…日本の近代史とともに歌手・藤山一郎の82年の生涯を語る。 【おすすめのポイント】 明治44年に生まれ、大正・昭和・平成を生きた彼の生涯は時代とともにあった。岡本太郎、井深大、本田宗一郎などとの意外な交流も語られ、読み物としても面白く読める。近代日本の世相史としても興味深い。 藤山はまた大の自動車好きとしてもしられる。戦前から自動車に親しみ、東京から大阪、神戸まで車で行った。乗った車もシトロエンに始まり、ルノー、ダットサン、BMW、オースチン…などなど。車好きの人も楽しく読めるのでは。 【こんな人にすすめたい】 ・藤山一郎や昭和初期の歌謡曲が好きな人に。 ・近代日本の世相に興味のある人に。 ・車好きの人に。 |
種をまく人 ポール・フライシュマン 著 あすなろ書房 【あらすじ】 アメリカオハイオ州クリーヴランドの貧民街。この一角にあるゴミ溜めと化した小さな空き地に、ある日ヴェトナム人の少女がマメを蒔いた。上手く育てれば今は亡き百姓だった父親に、自分の娘だとわかってもらえるような気がしたから。これをきっかけに、周囲のアパートの住人たちが一人、また一人とそれぞれの思いを抱えながら空き地を耕していく。やがて空き地はみずみずしい畑に変身し、いつのまにか人種の壁も取り払われて皆の大切な憩いの場所になっていった。 【おすすめのポイント】 畑づくりを始めた経緯を一人一人が語っていくのだが、その思いは三人三様で皆それぞれの人生を歩んでいるのだなと思うと感慨深い。言葉が通じずアパートに閉じこもっていたが畑に自分の居場所を見つけ活力を取りもどした元農家の人、生活の足しにと始めた人、彼女の気を惹くために始めた人など様々。また、最初は同じ人種同士でかたまり現実社会をそのまま映し出していたが、畑を大切に思う気持ちは同じで、いつしか自然に助け合うようになるところが良い。 【こんな人にすすめたい】 孤独を感じ、人との繋がりを求めている人。気分が塞ぎ、閉じこもりがちな人。 |
おとなになること サラ・ミッダ/作 ほるぷ出版 【あらすじ】 「おとなになること、それから、そのたのわるいこと」について、子どもの目線からシビアに、そして、ユーモアをこめて描かれた絵本。 【おすすめのポイント】 「おとな」になることとはどういうことか、と改めて考えさせられる一冊です。原点に立ち返り、おとな自身がどう生きるか考えたり、価値観や美意識の形成の重要性を再認識するよい機会になるのではないかと思います。やわらかいタッチの絵と辛辣な問いかけが、おとなたちに真に迫り、おとなを気取っていられなくなる、そんな絵本です。 【こんな人にすすめたい】 次世代を教育し、育てる責務のあるオトナたちに。 |
僕は、涙の出ない目で泣いた。 川畠 成道/著 扶桑社 【あらすじ】 小学校3年生の時風邪が基で視力障害者になってしまった川畠さんは、ヴァイオリンニストとして生きる道をつかんだ。本人の努力はもちろん、あたたかい家庭の愛につつまれ、天才ヴァイオリンニストとして活躍中です。 【こんな人にすすめたい】 小学校高学年から大人まで、すべての人に。この本を読むと、彼の演奏が聞きたくなります。 |
李陵(中島敦全集 1) 中島 敦/著 筑摩書房 【あらすじ】 漢の武帝の時代、戦に破れ匈奴に降った武将、李陵のその後と、彼を弁護したために宮刑に処せられた司馬遷の、史記完成にかける姿とを対比的に描く。 【おすすめのポイント】 「李陵」の他にも「山月記」「弟子」「名人伝」など、中国古典を題材とした作品が特におすすめです。漢文調の流麗なリズムと、独自の精神世界に引き込まれます。 【こんな人にすすめたい】 高校の国語の教科書で「山月記」は印象に残っているけれど、他の中島作品は読んだことがないという方に是非。 |
独特老人 後藤 繁雄/編著 筑摩書房 【あらすじ】 28人の個性的な老人たちのインタビュー集。 【おすすめのポイント】 映画キャメラマン、裏千家執事、棋士、舞踏家など各界を代表する人たちの話が興味深い。また、装丁や本文構成が美しい。 【こんな人にすすめたい】 目次を見て、一人でも気になる人がいれば、読んでみてください。 |
Itと呼ばれた子 ロストボーイ デイヴ デイヴ・ペルザー/著 青山出版社 【あらすじ】 米カリフォルニア州史上ワースト3の児童虐待を体験した著者が自身も親になるまでの成長を書いたドキュメンタリー 【おすすめのポイント】 実際におこったこととは考えがたいほどのヒサンな虐待は目をおおいたくなりますが、はらはらしながらも懸命に生きようとする著者にしだいにはげまされ勇気づけられます。 【こんな人にすすめたい】 児童虐待のニュースに心を痛めている人全てにおすすめ |
ザガズー:じんせいってびっくりつづき クエンティン・ブレイク/作 好学社 【あらすじ】 しあわせにくらしているジョージとベラのもとへ、ある日贈りものが。なかにはちっちゃなピンクのいきもの。なまえはザガズー。なんてすてきなんでしょう。ふたりは大喜び。ところがある朝起きてみると、ザガズーはなんと大きなはげたかに… 【おすすめのポイント】 そうそうこどもってそうだよね!と思わず共感。最後には素敵なオチもついて、世の中お互い様ね、と苦笑い。ロアルド・ダール作品の挿絵で有名なブレイクの、楽しく洒落た絵本です。 【こんな人にすすめたい】 こどものいる人と、親のいる人に。 |
描かれたエルダー 日本経済新聞社/編 創美社 【あらすじ】 "「どのように年を重ねるか」という問いへの回答を、小説や映画等の作品に求めてみた。洋の東西の先人たちは、高齢者の生活をどのように捉え、描いてきたのか。92作品を紹介し、高齢者の思慮や智恵を探る。 " 【おすすめのポイント】 日本経済新聞日曜版に掲載した記事なので、見開き一作品と読みやすい。 【こんな人にすすめたい】 高齢者 中高齢者 やがて中高齢者になる人 |
検疫官:ウイルスを水際で食い止める女医の物語 小林 照幸/著 角川書店 【あらすじ】 日本検疫史上初の女性検疫所長となった岩崎恵美子さんの活動を通じて、日本のウイルス・感染症対策や、生物・化学テロ対策の実情を紹介する。 【おすすめのポイント】 検疫官というと、空港で食品のチェックをしているというイメージがあったのですが、ウイルスや感染症、生物・化学テロ対策など、実に多彩で驚きました。あとは、難しくなりがちな内容を、読みやすく分かりやすく書いているところが良い。 【こんな人にすすめたい】 SARSとかで問題になったし、感染症対策とかには一応興味はあるけど、読んだ事は無いの。だって難しそうだし。という人。ちょっと古いかもしれませんが。 |
思い出のマーニー 上 思い出のマーニー 下 ジョーン・ロビンソン/作 岩波書店 【あらすじ】 かたくなで、孤独な少女アンナの海辺の町でのひと夏の物語。 【おすすめのポイント】 この物語では、固くこわばったアンナの心が、マーニーという少女と出会うことによってほぐされ、解放されていきます。そして、家族や友達と気持ちを分かち合うことの素晴らしさ、愛し、愛されることの素晴らしさを私たちに伝えてくれます。愛こそが自分自身を繋ぎとめる力になり、それと同時に、勇敢に自己の殻を破ることのできる力を与えてくれるのだと感じられる一冊です。 【こんな人にすすめたい】 ・空想に耽るのが好きで、想像力の豊かな子どもたちに。 ・水、草、花、風、光などと会話しちゃいたくなる子どもたちに。 ・外国、特にヨーロッパに憧れる子どもたちに。 ・子育て中のお母さんに。 |
ビビを見た! 大海 赫/作・え ブッキング 【あらすじ】 生まれつき目の見えない少年・ホタルに「7時間だけ目がみえるようにしてやろう。」と不思議な声が聞こえた。そしてホタルは目がみえるようになるが… 【おすすめのポイント】 児童向けの読み物となっているが大人が読んでも充分に読み応えのある本だ。 よしもとばなながこの本は自分の原点だと絶賛しているが子供の時にこの本の意味が分かるなんてよしもとばななってやっぱりスゴイ!! 【こんな人にすすめたい】 人生の真に意味ある物とは何かを問い掛けているこの本は、充実した人生を送りたいと思っている人にはヒントになるかも… |
みんなのなやみ 重松 清/著 理論社 【あらすじ】 十代の悩みに直木賞作家・重松清が答えます。十代ならではの悩みから、大人にも通ずるようなものまで、悩みの種類は様々です。 【おすすめのポイント】 悩み相談の本ですが、だからといってすっきりと悩みが解決するような答えが書いてあるわけではありません。でも、こんな考え方もあるんだな、と悩みに押しつぶされる前に一旦立ち止まって考えることができそうな、心に残る回答がたくさんあります。 悩みがあるのは何も大人だけではありません。みんながそれぞれにいろんな思いを抱えながらがんばっているんだなぁと思い知らされます。また答えはひとつしかない、というわけもでないということを教えられます。 大人になってから読むと、今思い出すと私も十代の頃こんなことで悩んでいたな、と懐かしい気持ちにもなるはずです。 【こんな人にすすめたい】 十代の方・十代の子を持つ親御さんはもちろん、悩み事で気持ちが晴れない方、悩みを相談されたけれど…、なんていう方にもおすすめしたいです。 |
不毛地帯 1 〜4(山崎豊子全集 12〜15) 山崎 豊子/著 新潮社 【あらすじ】 昭和30年代、かつて大本営参謀中佐だった壱岐が11年にも及ぶ過酷なシベリア抑留を生き抜き帰還後、大手の商社に迎えられFX(次期使用戦闘機)の選定と買い付けをめぐってのライバル商社や政界を巻き込む黒い霧の中に身を投じていく1巻から始まり、日本に石油を!と商社マンとして最後の大仕事にかける4巻で完結する戦後30年の日本人の心の歴史を描いた長編小説。 【おすすめのポイント】 戦争を放棄したはずの日本であたかも戦争のような商社間の対決が繰り広げられていく様が長尺をものともせず一気呵成にそして明確に描かれています。政界の闇を描き、現実の政治経済をオーバーラップさせる意欲的な社会派小説です。山崎豊子独特のストーリー構成、手に汗にぎる展開にはらはらさせられっぱなしです。主人公壱岐の生き様は「沈まぬ太陽」の恩地さんが好きな人ならその原型に引き込まれると思います。誠実実直な壱岐が不毛の荒野に足を踏み入れながらも最後は人間としての心を取り戻していく姿に感動します。 【こんな人にすすめたい】 シベリア抑留時代が凄まじく終戦してすぐに平和になったような錯覚をしてしまいがちな私たち現代人が忘れてはならない歴史として読むべきだと思います。商社マンやオイルマンに興味がある人にもオススメ。 |
李玉琴伝奇 入江 曜子/著 筑摩書房 【あらすじ】 写真1枚によって満州国皇帝の溥儀の側室に選ばれた女性の、激動の中国現代史を生きた記録。 【おすすめのポイント】 自分の写真が溥儀の目にとまったことで、貧しい階層から一躍「皇妃」の身となった李玉琴の伝奇=伝記なんですが、彼女、実は戦後図書館職員(吉林省の長春図書館)におさまるんですね。結構、名物図書館職員として名をうったらしいです。図書館職員の偉大(?)な先輩の記録としておススメ。 【こんな人にすすめたい】 波瀾万丈の図書館職員人生を夢見ている図書館職員と、中国現代史に興味のある方へ。 |
砂漠の囚われ人マリカ マリカ・ウフキル/著 早川書房 【あらすじ】 現代モロッコ国王の養女だったマリカはある日突然、砂漠の牢獄に20年間も監禁されることになる。虐待と飢餓に耐えながら奇跡の大脱出劇を展開する衝撃的自伝。 【おすすめのポイント】 マリカの父が起こしたクーデターの結末が家族全員を想像を絶する過酷な監禁生活へと追いやる。日中は40度を超える砂漠の気温。強烈な砂嵐。与えられる食事は腐った野菜やかびだらけのパン。生きる希望すら脅かされる中、牢獄の地下に穴を掘り脱出を試みるが、その精神力というか忍耐力に脱帽です。人間には生きて生きて生き抜こうとする力があるのですね。 【こんな人にすすめたい】 女性として一番美しくいられる時期を牢獄で自由を奪われたマリカも今は52歳。結婚もして幸せに暮しています。彼女の数奇な運命を知ることでいろいろ勇気づけられます。いろんな人へオススメ。 |