D人々・集まり・社会そして世界

D人々・集まり・社会そして世界
日本や世界についてもっと深く知りたい、先人の知恵に学びたい、家族の大切さについて考えたい・・・。そんな欲張りなあなたに。周りのあなたを見る目が違ってくるかも。

 利用者の方のおすすめ本  

釜ケ崎風土記   斉藤 俊輔/著   葉文館出版  
【コメント】
 日雇い労働者の町である大阪市西成区「釜ヶ崎=あいりん地区=日本最大のスラム街」を見事に描ききった名ルポルタージュである。
 ことに釜ヶ崎を「治外法権の街」と括り、弱者を食い物にする者を憎みながら、そこで生きる人たちに優しい眼差しを向けているに心が動かされる。貧乏は個々の責任もあろうが、多くは生い立ちに拠るところが多く、それを増長しているのが体制であるということもよくわかる。かといってこの本に、政治的な思想的な臭さは全くなく、底辺に生きる人々を「釜ヶ崎でなければ生きられない」と断言もしている。
 この本を教育者に読んでもらいたい。教育者を目指す人に読んでもらいたいと思う。
 昨今、勝組、負組と人を分け、負組があたかも劣った人間とする風潮がある。そんな思想を持つ人にぜひ読んでもらいたい書である。本来の人間の生き方がわかるはずだ。
(半田市在住の方からのコメントです)

 図書館からのおすすめ本

インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?   森 健/著   アスペクト  
【あらすじ】
副題に情報化がもたらした「リスクヘッジ社会」の行方とありインターネットがもたらした功罪についてジャーナリストである著者がかなり踏み込んで解りやすく説明している。メール、検索エンジン、ブログ、スキミング、バイオメトリクスなどを取り上げている。
【おすすめのポイント】
なにげなくインターネットを利用している人たちに警鐘を鳴らす。
【こんな人にすすめたい】
インターネットをビジネスや私的に日常使っている人などにすすめたい。

石の花   パーヴェル・バジョーフ 作   童心社  
【あらすじ】
ロシアのウラル地方に伝わる民話集。バレエなどでおなじみの「石の花」をはじめ5編。
【おすすめのポイント】
この本の一番の魅力は、厳しい現実と色鮮やかな幻想が織り交ぜられているところです。
当時のロシアは農奴制が色濃く、銅山で働く人々は苦しい生活を強いられていました。重い年貢を背負わされ、坑夫や石細工の職人たちは、身体を痛めても働き続けるしかありません。その現実をリアルに描く一方で、この民話集の主軸となっているのが、銅山の主である孔雀石の精『銅山(やま)のあねさま』です。「よくないひとがあねさまにいきあうと、不幸がおこる。が、いいひとがいきあたったって、よろこびはすくないんだ」と言われる『あねさま』の描写は、おそろしく美しく、ひとを惹きつけます。
原作はウラルの方言をちりばめてあるそうですが、島原氏の名訳がその雰囲気を伝えてくれます。続篇の「小さな鏡」「火の踊り子」「銀のひづめ」もおすすめ。
【こんな人にすすめたい】
「職人の技」番組が好きなひと。

武士道と日本型能力主義   笠谷 和比古/著   新潮社
【あらすじ】
個人と組織の関係、能力主義的な組織改革、近代化に果たした武士の役割、リーダーシップのあり方、武士社会の能力主義と今日の日本社会の年功序列・終身雇用
【おすすめのポイント】
日本型経営システムの根幹をなすと言われた終身雇用制と年功序列制の今日的意義。いったん就職すれば定年まで安閑として暮らせ、年齢順送り的に自動昇進・自動昇給する制度が戦後日本の高度成長、産業的成功をもたらしたのか。
【こんな人にすすめたい】
「武士道」「日本型〇〇」と聞いて腰が引ける人
グローバルスタンダード」に順応することがグローバリゼーション?と疑問に感じる人


ミカドの肖像   猪瀬 直樹 著   小学館
【あらすじ】
コクド(旧国土計画)・西武鉄道を中核とする西武グループ・堤家が、なぜ旧皇族の土地にプリンスホテルを建てたのかをルポルタージュした作品「プリンスホテルの謎」、他に2編あり。
【おすすめのポイント】
日本道路公団の民営化推進委員会をリードして話題を集めた著者が、20年前に西武・堤義明氏の蹉跌を予見していたかのようにルポしていたこと。
【こんな人にすすめたい】
企業の系譜とかルーツ、成り上がりの過程を知りたい方。

大学病院・医者ものがたり   米山 公啓 著   アドア出版
【あらすじ】
大学病院に勤める著者が医者・ナースの日常や医療の現場を綴ったエッセイ。
【おすすめのポイント】
医者が書いた本はたくさんありますが、著者のユーモアがあふれる文章は、私の医者に対するイメージをくつがえしました。遠い存在だと思っていた“お医者さん”に親しみが湧いてきます。
【こんな人にすすめたい】
病院、医療に興味がある人に。

あたらしい憲法のはなし(文部省著作社会科教科書)   文部省   日本図書センター
【あらすじ】
『あたらしい憲法のはなし』は、社会科教科書の一つとして1947年2月に発行され、9月から学校で使用された。「みなさん、あたらしい憲法ができました。そうして昭和二十二年五月三日から、私たち日本國民は、この憲法を守ってゆくことになりました。・・・」という、力強い呼びかけで冒頭がはじまる。 本書によって憲法を学んだ、当時十三歳の少女は、「軍隊がなくなって戦争ができなくなるなんて、こんな素晴らしいことはないと思ったんです。もうバンザイでした」と素直に喜ぶ。(田中伸尚著『憲法九条の戦後史』より) 「信じられないほど明るい絵」の入った教科書だった。しかし、教科書としての寿命は3年ほどと短い。朝鮮戦争が始まった1950年には副読本に格下げされた。そして1951年には学校から消えたのである。
【おすすめのポイント】
最高法規としての憲法の仕組みについて、中学生向けにその当時では珍しい手書きのイラスト入りで解説されている。戦争の時代、「小国民」として生きた子どもたちに、新生日本国の基本原理を一刻も早く理解してもらいたいという執筆者の熱い思いが伝わってくる。執筆は慶應義塾大学の浅井清法学部長(当時)である。
【こんな人にすすめたい】
戦後60年を経て、憲法について国民一人ひとりに判断を迫られる場面が近づいてきている。すべての日本人におすすめしたい。

「いき」の構造   九鬼 周造 著   岩波書店
【あらすじ】
「いき」という日本特有の美意識を解明する。
【おすすめのポイント】
『いきの構造』は、難解でありながら平明な著である。「「いき」といふ現象は如何なる構造をもっているか。」に始まる数行は、九鬼がこれから明晰にしようとするテーゼを掲げている。本書は6章に分かれ、「いき」という日本文化の特質を分析している。第2章では、「いき」とは、「媚態」「諦め」「意気地」の三契機と喝破し、4章以降で色彩や建築などでの「いき」の体現を現象学的に説いている。この書は、その後に続くベネディクトの『菊と刀』や土居健郎の『甘えの構造』などの日本文化史研究の礎となった古典的名作である。
【こんな人にすすめたい】
日本文化論に関心を持つ者には必読の書。詳細な注釈の付された講談社学術文庫版が読みやすいが、雰囲気を味わうには、旧漢字仮名遣いの岩波版をお勧めしたい。

スヌーピーたちのアメリカ   広淵 升彦 著   新潮社
【あらすじ】
スヌーピーや彼の飼主、チャーリー・ブラウン少年等多数の子どもたちが活躍する漫画「ピーナッツ」を通して、アメリカを語る。
【おすすめのポイント】
著者は「ピーナッツ」に登場する子どもたちの性格や行動を観察し、「この漫画はアメリカの希望や挫折、庶民の哀歓、中産階級の夢と価値観を子どもたちを通して描いている」と分析する
【こんな人にすすめたい】
スヌーピーの漫画の愛読者、アメリカ社会に興味のある人

アニバル   アンヌ・ブラガンス 著   マガジンハウス
【あらすじ】
息子を理解しようとしない父親を憎みながら暮らすおませな男の子スウィーティの家にペルーから新しい弟がくることになり、意地悪な態度をしていたスウィーティだったが、弟が喘息になり、元気にするには二人でペルーに行くしかないと考え出奔する。結果は失敗に終わるが……。
【おすすめのポイント】
周りの大人からはわがままな変わり者とおもわれている少年の視点から眺めた大人の世界は不可解なことが多いし理不尽なことだらけ。植物を愛することしかできなかった少年が新しい弟ができたことにより、自分よりか弱い者に愛を感じ父親をのりこえてゆく。大人の世界でくらす少年の語りが思わず笑いを誘う。
【こんな人にすすめたい】
映画のファンに、おしゃれなフランス映画をみてるような気分になってくる。なつかしいスターの名前がでてきます。

不実な美女か貞淑な醜女か   米原 万里 著   徳間書店
【あらすじ】
著者はロシア語同時通訳・翻訳家・作家。通訳の失敗談、苦労話などの豊富なエピソード満載のエッセイ。
【おすすめのポイント】
ロシア語通訳の第一人者とされるだけあって、彼女の文章は非常に明晰、かつユーモアにあふれていて、痛快です。
【こんな人にすすめたい】
外国語に興味を持っている人に。

ウィロウ郡の天使たち   シド・ハイツ 著   立風書房
【あらすじ】
アメリカ南部のどこにでもあるのどかな田舎ウィロウ郡にディザー家の大叔母がやってきたことから事件がおきる。ティザー農場の家族を中心に友人、村人がいきいきとユーモラスにファンタジックに描かれている。
【おすすめのポイント】
登場人物がいきいきとしていてみんなすきになってしまう。子どもたちをとりまく周りの大人がいい。のんびりした話なのにハラハラしいつのまにかひきこまれいっきに読んでしまった。
【こんな人にすすめたい】
都会型悩みをかかえている人。ちょっぴりファンタジックな人に。

インターネット市民革命   岡部 一明 著   御茶の水書房
【あらすじ】
1990年代のアメリカにおけるインターネットの導入・利用状況を述べている。
【おすすめのポイント】
情報通信革命がPower to the Peopleに連なるという視点で書かれ、まさに90年代中葉に急速に進行した「インターネット市民革命」の熱気を感じさせてくれる本。この本を導き手に、今思えば設定の難解なソフトを使い、電話代を気にしながら、深夜利用していたことを思い出します。しかし、フランス革命もロシア革命の成果も、いつのまにか市民の手からこぼれ落ちてしまったことを私たちは知っています。これからは「インターネット市民革命」はどこにいこうとしているんでしょうか……。テルミドールの季節?
【こんな人にすすめたい】
ダイアルアップで電話代を気にしながらインターネットの世界へ旅立った人へ

全訳統治論   ジョン・ロック 著   柏書房
【あらすじ】
"ロックは、イギリス名誉革命を理論的に擁護し、所有権論と議会制度論を結合させながら、世界最初の市民政治・社会観を論理化した。 原書名は『Two Treatises of Government』(「統治二論」,1698年刊行)である。前篇では、ロバート・フィルマー卿とその追随者の誤れる諸原理と基礎が検討され覆され、後篇は、市民統治の真の起源と領域と目的とに関する論文である。 "
【おすすめのポイント】
"我が日本国憲法の基本的性格は、アメリカ『独立宣言』を経由し、そのほとんどは17〜18世紀市民革命期におけるホップズ、ロックらの政治理論(社会契約論)をその源流としている。 国家共同体のあり方について、その原点に戻って再思考することは、混迷の時代を見据えることに繋がると考える。 "
【こんな人にすすめたい】
近代市民政治について、改めて学んでみたい方におすすめする。

アンダーグラウンド   村上 春樹 著   講談社
【あらすじ】
1995年3月20日、世間を震撼させたオウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者を村上春樹がインタービューし、まとめたもの。
【おすすめのポイント】
この本では、匿名性の高くなってきている近年の社会において、一人ひとりの生活や喜び、苦悩、葛藤に焦点を合わせ、かけがえのない一人の人間の立場から事件に迫っています。このように視点を変え、ジョン・レノンの言うようにイマジン、想像してみるということは、他者を思いやり、尊重することに繋がり、事件の奥に潜む闇を解き放つ力があるのではないかと思える一冊です。
【こんな人にすすめたい】
あの忌まわしい地下鉄サリン事件から一体この国や世界は何が変わったといえるでしょうか。社会の歪みが現れた様々な事件が後を絶たない、そんな今を変えていきたいと思っている方へ。

あかちゃんのゆりかご   レベッカ・ボンド/作   偕成社
【あらすじ】
あかちゃんが生まれてくるとわかったとき家族はみんなで大喜びした。
そしてみんなあかちゃんのために何かしてあげたいと思った。お父さんはゆりかごを作った。おじいちゃんはそれにペンキをぬり、楽しい絵を描いた。おばあちゃんはベッドカバー、おにいちゃんはモビールを作った。そして、おかあさんはそのゆりかごを窓辺においた。生まれてきた赤ちゃんはみんなの気持ちがわかるかのようにゆりかごの中ですやすやと眠った。
【おすすめのポイント】
あたらしい命の誕生はすばらしい。そして、その誕生をあたたかく迎える家族の愛情。ゆりかごにこめられる家族の一人一人の思いがあかちゃんだけにとどまらず色々なものに注がれていることが、この絵本の魅力の一つである。絵も色調があたたかく、しあわせな気持ちが画面からあふれてくる。
【こんな人にすすめたい】
この頃生きる事に疲れたとちょっぴり思っているあなたに。
もちろん、あたらしい命がもうすこしで誕生するご家庭に、あるいは誕生したばかりのご家庭に。

からくり民主主義   高橋 秀実/著  草思社
【あらすじ】
新興宗教団体、諫早湾干拓問題、沖縄米軍基地問題、若狭湾原発銀座…一見して善悪がはっきりしていそうな問題でも、現場に行ってインタビューしてみると、そうは問屋が卸さないのです。複雑に入り組んだ利害関係やそれぞれの立場を、聞けば聞くほど身動きが取れなくなってくる。「弱ったなあ」「弱りましたねえ」結論が出ない現代の問題を、独特のユーモアをもって語ります。
【おすすめのポイント】
私はこの本を村上春樹氏のエッセイで知ったのですが(この本の後書きを書いています)、読んで納得、面白い本でした。
何でも白黒はっきり付けられれば楽だけど、正しい結論なんてないことが多いですよね。でも「世の中」っていうのはそういうものなんだ、と素直に思えます。短気をおこして安易な結論を出すことが怖くなる本。個人的には作者の八方美人なところにシンパシー!を覚えました。
【こんな人にすすめたい】
皆の言うことがバラバラな中で結論を求められる立場の人に

疾駆する夢   佐々木 譲/著   小学館
【あらすじ】
終戦後の横浜で復員兵の多門大作がはじめた自動車修理工場が、多門自動車として世界的な大企業に成長する姿を描いた小説。
【おすすめのポイント】
廃品を利用した原動機つき自転車の製作から始まり、オート三輪を経て乗用車メーカーとなり、海外輸出・排ガス規制・日米自動車摩擦問題といった問題に対処していく多門自動車の歴史は、実在の自動車会社が実際に行ってきたことに基づいており、日本自動車産業史を小説化したものと言える。本田宗一郎、中村良夫、片山豊らの実在の人物も登場する。
【こんな人にすすめたい】
NHK「プロジェクトX」をよく見る方。

母なる大地   柳沢 桂子/著   新潮社
【あらすじ】
地球の環境汚染を生命科学を研究してきた著者が多面的、総合的にとらえた図書。
【おすすめのポイント】
土壌・大気・食料危機など章ごとに環境汚染の問題を提起しており専門知識がなくても理解できる。 さらに知らぬ間に日常生活に浸透してしまっている環境汚染物質のくわしい説明もあるので日常生活で少しでも環境汚染の悪化防止を心がけることも出来る。
【こんな人にすすめたい】
漠然と環境汚染が気になるが何から取り組んだらよいか分からない人に一読を進めたい。

ホリス・ウッズの絵   パトリシア・ライリー・ギフ/作   さ・え・ら書房
【あらすじ】
問題を起こしては里親をたらい回しにされてきた11歳の少女ホリス・ウッズ。今度の里親は元美術教師のジョージー。絵を描くことが何より好きなホリスは、ジョージーからその才能を認められ、彼女との暮らしに次第に馴染んでいく。だが、片時も忘れられないのはこの夏一緒に暮らしたリーガン家のこと。彼らを描いた絵を眺めては切ない思いをかみ締める。あんなことをしなければ念願の家族になることができたのに…。彼らへの思いを断ち切り、これからはジョージーと二人で暮らしていくと決めたホリス。ところがジョージーにボケの兆候が…。福祉事務所に知られたらこの生活もすぐに壊されてしまう。ホリスはジョージーを連れて、今は誰も居ないリーガン家の夏の家へと向かう。
【おすすめのポイント】
ホリスが片時も忘れられないリーガン家の人達。デラウェア川と山に囲まれた大自然の中で彼らと暮らしたひと夏の思い出が美しく描かれている。13歳の息子のスティーヴン、おやじさんとその妻イジー。彼らは心からホリスを歓迎し、彼女を優しく包み込む。その愛情は押し付けではなく自然ににじみ出てくるような感じで実に心地良い。特にスティーヴンのホリスに接するさりげなさや理解の程にはグッとくるものがある。ホリスの幸せな気持ちも溢れるほど伝わってくる。そこを自らの意思で去らなければならなかったホリスの心中を思うと胸が痛くなるが、最後のスティーヴンとの再会の場面は心憎いばかりで 晴れやかな気分にさせられる。
【こんな人にすすめたい】
家族って何?と思っている人。優しさに包まれたい人。

ルビーの谷   シャロン・クリーチ/著   早川書房
【あらすじ】
ふたごのダラスとフロリダはあらゆるめんで劣悪な孤児院で育てられ、いつも問題児といわれ物事を素直に受け取ることができなくなっていた。そんな二人は夏休みの間美しいルビーの谷で暮す老夫婦と過ごすことになった。だが問題を起こしてばかり……
【おすすめのポイント】
大人は全て問題大人と思ってた双子だが、ルビーの谷の老夫婦から全てのものにたいする優しさ、人を思いやることを知る。また老夫婦は大切にしてきたものへの再確認をさせられる。カーネギー受賞作
【こんな人にすすめたい】
双子の引き起こすトラブルにはユーモアがあり、彼らなりに理由がある。それらを老夫婦はなにごともなかったように対応してゆく。日ごろ忙しい人に。

〈私〉の愛国心   香山 リカ/著   筑摩書房
【あらすじ】
いまの日本の「ナショナリズム」について、国内と国外(主にアメリカ)の要因を解きほぐしながら考えます。
【こんな人にすすめたい】
立ち止まって物を考えたい人に

国旗で読む世界地図   吹浦 忠正/著   光文社
【あらすじ】
ルーマニアとチャド、モナコとインドネシアはまったく同じデザインの国旗だが、それら以外にもよく似た国旗が多いのはなぜか。国旗を覚えるために必要な10の原則を解説。
【おすすめのポイント】
国旗は各国の歴史的・文化的・政治的な理由に基づいてデザインされている。それらの理由を理解した上で国旗を覚えることは、その国の歴史や文化、その国がおかれた社会的・自然的環境を知ることになる。
巻末に世界の国旗一覧と世界地図などを掲載。ただし刊行後に国旗の変更の可能性があるので、イランなどの国際情勢に注意が必要。
【こんな人にすすめたい】
愛地球博で外国館巡りを楽しんだ方。冬季オリンピックを楽しみにしている方。

自転車市民権宣言   石田 久雄/共著   リサイクル文化社
【あらすじ】
日ごろ、何気なく乗っている自転車を都市交通の中に明確に位置づけることを目的に、自転車の走行空間、放置自転車対策、自転車通勤と健康管理、道路利用のルール(クルマ、自転車、歩行者)、共有自転車への挑戦、自転車政策の総合化と一元化など、自転車に関する議論を展開する。
【おすすめのポイント】
「トラック一杯の薬より一台の自転車」とまで言われる自転車を安全、快適に利用するためには何が必要か。自転車利用者の生の声をふくめ、幅ひろい議論と提言がある。
【こんな人にすすめたい】
自転車はどこを走れば良いのかわからない。
自転車に乗り換えて二酸化炭素などの温室効果ガス削減に協力したい。
健康のための運動として自転車に乗ってみたい。

だれが未来を奪うのか   野田 聖子/著   講談社
【あらすじ】
90年代後半以降の日本経済の停滞感による先行き不安、経済成長を制約する人口減少社会(生産年齢層の減少、老齢層の増加)の到来による労働力不足、個人消費の減少による頭打ちの従来需要、社会保障の崩壊などが上げられる。人口が減り、税収入が落ち込む中、政治が取り組むべき優先課題として、1個人の政治家として、女性がもっと働きやすい環境、若い世代が生き生きと仕事ができる仕組みなどをつくるための提言をしている。また、将来の民族消滅危機に対して、今後、少子化、高齢化社会、外交などの政治施策をどうしていくべきかも提言している。
【おすすめのポイント】
女性は専業主婦になるより、働いたほうがむしろ少子化の解決(統計的に出生率が高い。)になるとし、昭和の日本人の典型的家庭像であるサザエさん一家(昭和35年から50年ぐらいまでの高度成長期の時代の背景)から、さよならし、あらゆる人々が社会参加のチャンスをあたえられる平成のニューサザエさんスタイルへ移行しなければ国がなりたたなくなるという。戦後から高度経済成長と続いてきて、今、先行き不安がささやかれる中、日本の社会構造が移行しつつある事を考えさせられる。
【こんな人にすすめたい】
筆者は、特に若い女性たち、仕事をしている女性たち、子育てをしているお母さんとしているが、日本の将来を危惧する全ての人に読んでもらいたい。

反日と反中   横山 宏章/著   集英社
【あらすじ】
近年の中国の反日感情・日本の反中感情、対日観・対中観の形成と変遷、革命原点としての抗日・反日闘争、日中の争点とその行方、反日・反中の超克等につき、日中双方の主張を紹介しながら論を進める。
【おすすめのポイント】
日中の対立構造は根本的解消が困難という認識に基づき、わだかまりはあっても、その不満を拡大させれば互いに不利益となるシステム、不満の解消ではなく、不満の不拡大を保障するシステムの実現を提案している。
【こんな人にすすめたい】
中国に対して親近感がもてない人
日本がなぜ嫌われるのか理解できない人
日中の冷たい政治関係が良好な経済関係に悪影響を与えないかと心配な人
中国に親近感を感じる人