C趣味に溺れる
せわしない生活からの格好のトリップは、なんといっても趣味の世界。綺麗なものに耽溺するもよし、事件に囲まれ謎解きに没頭するもよし、ごひいき役者の芸談を楽しむもよし。あなたの趣味を深める本、みつけてください。
アメリカン・ミュージック・ヒーローズ 米国ポピュラー音楽の歴史 鈴木 道子/著 ショパン
【あらすじ】 米国ポピュラー音楽の歴史をそれぞれの時代のヒーローを中心にまとめ1920年代から90年代まで時代を追いながら概観し21世紀はじめまでカバーする。 【おすすめのポイント】 音楽評論などを中心に活躍する筆者の研究の成果が豊富な写真とともに紹介されている。 【こんな人にすすめたい】 ポピュラー音楽,大衆音楽の流れをつかむのには最適。 |
私の巴里・ジュエリー 朝吹 登水子 著 文化出版局
【あらすじ】 2005年9月2日、88歳で亡くなった朝吹登水子は、フランソワーズ・サガンやボーボワールの翻訳者として名高いが、生涯にわたって美の探求者でもあった。彼女自身が「私は、美しい形のもの、美しい色彩のもの、美しい光を放つものに摶(う)たれる。」と語っているように、これは、著者が長い歳月にわたって住んだパリという都(まち)の、香りと感触をもった宝石の数々である。 【おすすめのポイント】 フランス人が毎日の生活の中で使っている宝石やアクセサリー、伝説的アンティークジュエリーなど、現代では見られなくなった繊細で豪華な宝石デザインが、見るものの心を捉える。 【こんな人にすすめたい】 美しいものが好きな人に。 |
絵のなかの散歩 洲之内 徹 〔著〕 新潮社 【あらすじ】 「私は常々、絵というものは生き物で、一枚の絵にはその絵の運命があると思っている」(「絵のなかの散歩」p.78)。現代画廊の画商で美術評論家でもあった著者が、人生という荒野をさすらううちに出会った作品や作家について真摯にペーソスをまじえて描いている。 【おすすめのポイント】 「芸術新潮」で連載されていた美術随想「気まぐれ美術館」の原点といえるもので、著名ではない現代の芸術家や作品についても独特の視点で取り上げている。 【こんな人にすすめたい】 「絵好き」な方に。興味を持った方にはさらに「気まぐれ美術館」シリーズの著作もおすすめします。 |
実用青春俳句講座 小林 恭二 著 福武書店 【あらすじ】 著者と俳句の奇妙な出会いは、大学の文学系ではなく、自然科学系ゼミのなかに、俳句の実作という項目をみつけ、そのゼミをのぞいたところから始まる。はじめて俳句をつくってから、頭のなかは、五七五でいっぱいになる。仲間を集めて句会を開いたり、合宿したりと俳句にどんどん夢中になっていく。 【おすすめのポイント】 この本を読むと俳句を作りたくなる。友だち同士で句会を開いて遊びたくなる。俳句や句会についての解説もあり、わかりやすい。 【こんな人にすすめたい】 「俳句って何だろう」と思っている人 |
フランスの衣装と刺繍 学研 【あらすじ】 18世紀から20世紀半ばにかけての、フランスの衣装がカラーで紹介されています。 【おすすめのポイント】 18世紀の衣装がこんなに美しい形で残っていることに驚愕します。素晴らしい刺繍の数々に見ているだけでうっとり。シャネルやディオールなどクチュールの刺繍案も載っています。ルイ王朝時代に興味のある人、刺繍好きの人におすすめ。(でも貸出はできない本です、すみません…) 【こんな人にすすめたい】 手芸好きの人。フランス史に興味のある人。クチュールに興味のある人。 |
写真術 : 21人の巨匠 ポール・ヒル/著 晶文社 【あらすじ】 ケルテス、ブラッサイ、ドアノー、ユージン・スミス・・・・ 20世紀に活躍した21人のカメラマンへのインタビュー集。 “Dialogue with photography”farrar,Straus&Giroux,1979の全訳 【おすすめのポイント】 歴史が浅く撮影技術のほかにはこれといって作風の定義や方向性の無い暗中模索の写真の世界で、彼らがどのように生きて作品を残していったのか、インタビュー形式で本人によるコメントで知る事のできる1冊。 インタビュアーが彼らの背景や作風を熟知している事が感じられるので、読んでいて面白いし、深く理解することができる。 【こんな人にすすめたい】 いつもカメラを右手にすごしている人に。 |
名碗 世界文化社 【あらすじ】 茶の湯にとって茶碗とは、茶碗の系譜、茶碗観賞の心得など、茶の湯をたしなまれる方にとって知っておきたい知識とともに、唐物、高麗、和物など、数百年という年月を経た名碗の数々をカラー図版で紹介。 【おすすめのポイント】 大きく美しいカラー図版とわかりやすい説明で、お茶を始められたばかりの方から楽しく読んでいただける一冊です。骨董に興味をお持ちの方には、何度観てもあきない器の景色や肌合いの美しさを楽しんでいただけると思います。 【こんな人にすすめたい】 茶の湯をたしなまれる方。骨董に興味をお持ちの方。 |
ピアニストという蛮族がいる 中村 紘子 著 文芸春秋 【あらすじ】 ピアノという楽器に魅せられた古今東西のピアニストの逸話を、自らもピアニストである著者が感慨深く語る。ホロヴィッツ、ラマニノフ、ポーランドの首相になったパレフスキー、幸田延、久野久、映画スターになったアイリーン・ジョイスなどをとりあげている。 【おすすめのポイント】 ピアニストのエピソードが興味深い。明治時代に、どのようにして日本のピアニストが誕生したのかが詳しく書かれている。巻末折込付録には、実物大のショパンの小さな手や、実物大鍵盤がついており、ラマニノフの手の大きさを実感できる。 【こんな人にすすめたい】 ピアノの好きな人 |
柳生忍法帖 上 柳生忍法帖 下 山田 風太郎 著 毎日新聞社 【あらすじ】 時は江戸時代初期の会津藩。暴虐なる藩主加藤明成によって、家老堀主水一党は非情な手口で惨殺される。復讐を誓う一党の生き残り女7人と、彼女らを助ける柳生十兵衛の前に立ちはだかるのは、強力無比な戦闘集団「会津七本槍衆」、そして奇怪な術を駆使する妖人・芦名銅伯だった― 山田風太郎の一連の「忍法帖」シリーズの一つで、隻眼の剣豪柳生十兵衛の活躍を描いた小説。 【おすすめのポイント】 絶対にありえないような忍術・戦術が次から次へと入り乱れる、この破天荒な物語は、小説を読む楽しさを思い出させてくれます。戦闘場面も「直接的な力と力の激突」ではなく、策略・謀略に満ち溢れて一筋縄ではいかない展開が繰り広げられ、まさに「息をもつかせぬ」とはこのこと。 なおこの小説は山田風太郎「柳生三部作」の第1作目にあたります。同書を気に入られた方は、続く第2作目の『魔界転生』、最終作『柳生十兵衛死す』もどうぞ(いずれも当館に所蔵あり)。 【こんな人にすすめたい】 面白い小説が読みたい人へ、「今さら忍法なんて子ども騙し」と思っている人へ。 |
世界のスーパーエクスプレス 三浦 幹男 著 日本交通公社出版事業局 【あらすじ】 世界各国で活躍する豪華列車や高速列車、大陸横断列車などを写真と記事で紹介している。 【おすすめのポイント】 1980年代以降、ヨ−ロッパではドイツのICEやフランスのTGVが登場して鉄道に活気が戻りつつあります。 本書はカラ−写真が豊富に掲載されており、眺めているだけで楽しめます。 【こんな人にすすめたい】 鉄道旅行に興味のある人や海外の鉄道列車そのものが好きな人向き |
花の脇役 関 容子 著 新潮社 【あらすじ】 華やかな歌舞伎の舞台を脇で支える10人の役者の芸談、喜怒哀楽の役者人生を描いている。骨の髄まで歌舞伎が好き、職人の如く仕事に対する誇り、師匠への敬愛などがあるからこそ、脇役人生を続けていられるのだと感じる。 【おすすめのポイント】 脇役の芸談にはともすれば梨園の階級制度といったデリケートな部分がつきまとう。この本は、そんな陰惨な世界を認識した上で、影となって尽くす縁の下の力持ちたちに“花”を持たせ、素顔をユーモラスに引き出している。それは、著者の長年の歌舞伎役者との信頼関係や歌舞伎への深い愛情と知識の賜物だろう。 【こんな人にすすめたい】 歌舞伎を見て、主役級以外の脇の役者たちの存在に興味を持った方に。この本を読んで満足された方には、「虹の脇役」(新潮社,1999,774.28 /セキ /787188,開架)もおすすめします。 |
しゃべれどもしゃべれども 佐藤 多佳子 著 新潮社 【あらすじ】 若手落語家のところにしゃべることで問題を抱える人たちが集まり、落語を教えることになる。どもる青年、口下手な女、生意気な大阪弁の小学生、マイクを前にすると話せなくなる野球解説者。それぞれの問題の解決を落語にもとめるが・・・。 【おすすめのポイント】 個性豊かなキャラクターたちの掛け合いが絶妙。人付き合いが下手で人生につまづいている人間どうしのぶつかりがさわやかに描かれている。読んだ後元気になれる 【こんな人にすすめたい】 ほっと一息ついて元気になりたい人に |
ポートレイト・イン・ジャズ ポートレイト・イン・ジャズ 2 和田 誠/著 新潮社 【あらすじ】 1冊26人のジャズ・ミュージシャンを取り上げる。それぞれの個性を村上春樹が熱く語り、和田誠がクールに描く。 【おすすめのポイント】 読んで楽しく、見て嬉しい本。同タイトルのCD2枚あります。 【こんな人にすすめたい】 ジャズのビジナー、ジャズを愛するすべての人 |
人食いバラ 西条 八十/著 ゆまに書房 【あらすじ】 みなしごの英子は、ある日見ず知らずの大富豪から遺産を受け取る。だが、遺産を狙う春美の魔の手が次々と英子に迫る! 【おすすめのポイント】 思わず「えーっ!?」と声が出てしまう驚きの結末まで、飽きずに一気に読むことができます。また、詩人として有名な西条八十が書いた少女小説ということでも興味深い1冊です。 【こんな人にすすめたい】 あっと驚く結末を読んでみたい人におすすめします。 |
アジア映画の大衆的想像力 四方田 犬彦/著 青土社 【あらすじ】 映画論・映画史研究家の四方田犬彦氏がさまざまなメディアに発表されたいわゆるアジアB級映画に関する論考をまとめたもの。 【おすすめのポイント】 アジア映画というとサタジット・レイとか、新しいところでは陳凱歌・張芸謀とかいった人達の「芸術」作品を思い浮かべることがしばしばあるのですが、この本では、そういった「芸術」作品を頂点に、その裾野にその国や地域の民族性を色濃く有するB級映画の数々があることを教えてくれます。実は以前、この本で紹介されている「ハヌマンと七人のウルトラマン」(タイ)をみたことがあるんですが、怪獣の集団とウルトラマン兄弟ら=集団の対決なんです。怪獣が徐々に負けていくのがパターンなんで、最後は怪獣一匹とヒーロー集団の戦い(圧倒的に怪獣に不利!)となり、ちょっと怪獣がかわいそうでした。この手のものでは、怪獣とヒーローとの一騎打ちが基本と思っていたので、ちょっと異様な感じがしました。ちょっとした異文化体験かな。 |
モーツァルト : 18世紀ミュージシャンの青春 久元 祐子/著 知玄舎 【あらすじ】 モーツァルトの青春時代約8年間に焦点をあてモーツァルトの素顔にせまる。性と自我に目覚める10代前半から21歳になったモーツァルトが大司教に辞表を提出して旅立つまでの話。 【おすすめのポイント】 現代の青年と同じようにモーツァルトにも青春時代はある。その「青春」時代が魅力あるテーマとして浮かび上がってくる。「神童」のイメージをおしつける父レオポルトや彼の才能を独占しようとする大司教に反抗し精神的に独立しようとしていく中、ありのままの「人間」として愛してくれるコンスタンツェと出会い恋愛の末、結婚する。18世紀の貴族社会の中で送った青春の日々がそのときどきの作品に反映されていることが大変興味深い。 【こんな人にすすめたい】 音楽家を目指す人、モーツァルトに興味のある人、クラシックが好きな人。 |
文楽のこころを語る 竹本 住大夫/著 文芸春秋 【あらすじ】 文楽の語り手、人間国宝の竹本住大夫が、人形浄瑠璃19作品を説き明かします。 【おすすめのポイント】 写真を見ていただくとお分かりの通り、住大夫は渋いおじいちゃんです。彼の語りは、一度聞いたら忘れられません。美声ではなく、むしろ(失礼ながら)濁声だと思いますが、胸に迫る浄瑠璃をいつも聞かせてくれます。ひとつの道を究めようと邁進して来られた厚み、芸に対する姿勢が伝わってくるのです。 そんな住大夫が自身で浄瑠璃を解説してくれるなんて!素晴らしい企画だと思います。文楽のガイドブックは沢山出版されていますが、現役の名大夫が見どころ・聞きどころを解説してくれる機会はそうありません。 【こんな人にすすめたい】 文楽を観てみようかと思っている人。至芸に漂いたい人。 |
ジュエリーの歴史 ジョーン・エヴァンズ/著 八坂書房 【あらすじ】 中世初期から近代までのヨーロッパ宝飾品を、美術史の流れに沿って紹介してあります。イギリスの美術史家・歴史家である著者の「A history of jewellery 1100-1870」の全訳。 【おすすめのポイント】 人が実際に身につけてきたジュエリーを、たくさんの写真や肖像画でみることが出来ます。その豪華さや優美さに、ただ目をうばわれるばかり。 【こんな人にすすめたい】 美しい宝石が大好きな方。 |
アメリカンTVドラマ50年 長谷川 正/〔ほか〕執筆 共同通信社 【あらすじ】 日本でテレビ放送が始まったのが、1953年(昭和28年)からで、その3年後の1956年4月に、アメリカ製テレビドラマが日本で初めて放送されました。 1950年代から2003年までの間に放送されたアメリカンTVドラマ151作品を、写真とエピソードをまじえた解説で綴られています。 【おすすめのポイント】 年代順にテレビドラマの写真のカットと解説がなされているが、作品毎の目次もあり特定のところを見たい場合も見易くなっている。 1作品毎に写真のカットのみでなく、出演者、ドラマ特徴、時代背景などの解説がなされていておもしろい。 また、それぞれの年齢層によりそれぞれの思いで見れるのではないかと思います。 【こんな人にすすめたい】 特に、娯楽の少ない時代にテレビを宝のようにかじりついて見ていた子供時代 を過ごした大人に、過去の良き時代を思いだしてもらい元気になってもらいたい。 また、若い人はテレビドラマの歴史の原点に触れられると思います。 |
「不思議の国、エルメスへの旅」展 西沢 寛/〔ほか〕編集 西武百貨店 【あらすじ】 1997年にセゾン美術館(1999年に閉館)、松坂屋美術館で開催された同名の展覧会のカタログ。惑星エルメスを訪れた旅人たち。扉を開くと、そこにはエルメスにかかわる様々な品々が時間と空間を越えて待っていた…。 【おすすめのポイント】 69ページの小冊子ではあるが、カタログらしく、エルメスの品々が色彩鮮やかに表現されている。特にスカーフは、その質感までも感じさせてくれる。ページをパラパラとめくっていくだけでも、かの世界を十分楽しめる。 また、終わりには1989-1995の間の年間テーマが載っている。文章は短いながら、エルメスのエスプリが端的に表れていて面白い。 【こんな人にすすめたい】 エルメス大好き!な人は、これを読むとまたお店に行きたくなるかも。 お店はちょっと敷居が高いなぁと感じている人は、せめて雰囲気だけでも楽しんでもらえればうれしいかも。 「ブランド?何それ?」って人でも、気軽に手にとっていいかも。 |
黒沢明と『七人の侍』 都築 政昭/著 朝日ソノラマ 【あらすじ】 "映画の中の映画と絶賛される「七人の侍」は、黒澤明四十四歳の作品。 この本は、出演者、スタッフらのインタビューも加え、「七人の侍」がどうやって出来たか、製作の過程と舞台裏を紹介しています。 " 【おすすめのポイント】 製作の苦労話を知ることによって、この映画を見る楽しみが二倍に増えます。 【こんな人にすすめたい】 映画を愛する人 「七人の侍」をもう一度見たい人 |
ぜんぶ芸のはなし 織田 紘二/編著 淡交社 【あらすじ】 「歌舞伎は理屈を超越した演劇」(十三代目片岡仁左衛門)・「俺は名優揃いの中でもまれて得をしたと思います」(十七代目中村勘三郎)・「私どもの世界は20年くらい前からですね、生活が安定したのは」(三代目茂山千作)・「まずい芸を人に聞かせたり見せたりするのは詐欺だと思いますよ」(清元志寿太夫)等々・・。俳優、狂言師、狂言作家として、舞踏家、振付師、裏方として古典芸能という舞台に華を咲かせた十八人が、それぞれに気の遠くなるような稽古・修行の積み重ねのうえに伝承されてゆく「芸」というものを決しておごることなく自ら語ったものを一冊にまとめたインタビュー集。 【おすすめのポイント】 今や伝説化された五代目歌右衛門、六代目菊五郎等名優たちの生の言葉や生活ぶりが、その身近で生きてきた名人たちに語られることによって、自然にその姿が目の前に現れてくるようなリアルさが随所から伝わってくる。 【こんな人にすすめたい】 古典芸能に興味のある方はもちろん、明治生まれの人々の気骨ある人生を垣間見てみたい方にもおすすめ。 |