B昔をふりかえる

B昔をふりかえる
温故知新の言葉のとおり、昔のことをふりかえるのは今にとっても役に立つもの。偉人の生い立ち、武将の戦略、時には懐かしい時代の風景を振り返るのもまた一興。昔へと思いを馳せるひと時をどうぞ。

 利用者の方のおすすめ本  

こどものころにみた空は   工藤 直子/詩 松本 大洋/絵   理論社  
【コメント】
なんとなく なつかしく、 
“ほっ”と 心があったかくなります。
読んでもらいたい人
 毎日忙しくしている大人の人…
(海部郡在住の方からのコメントです)

梁啓超年譜長編 第1巻 〜第5巻  丁 文江/編   岩波書店
【コメント】
 中国近代史及び近代日中関係史を理解するために非常に有用な史料を、現代一流の研究者が集まり、わかりやすい訳に詳細な注釈を付した書物。元の史料は中国本土では既に絶版となっており、その意味では大変有意義な出版であるといえよう。
 難しそうと思わず、とりあえず手にとって読んで欲しい。特に浅田次朗の『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』を読んで、もっとこの時代について知りたいと思っている人ならなおさらである。
(名古屋市在住の方からのコメントです)

 図書館からのおすすめ本  

源義経の合戦と戦略   菱沼 一憲/著   角川書店
【あらすじ】
「平家物語」諸本、鎌倉時代後期に編纂された歴史書「吾妻鏡」の他、当時の貴族の日記、古文書の記述を丹念に追い、源平合戦決着に至るまでの源義経の足跡を検証する。
【おすすめのポイント】
歴史家の緻密な分析手法と考察によって、雑多な史料が確実に分かること(=史実)と分かっていないこと(=創作の可能性)に峻別される過程が興味深く感じられました。物語を土台としたいわゆる通説とは違った義経像が現れてきます。
【こんな人にすすめたい】
大河ドラマに合わせて、源義経および平家物語に関する図書が、今年は多く出版されています。図書館にも何冊か入っているので、いろいろ読み比べてみてはいかがでしょう。

景観から歴史を読む   足利 健亮 著   日本放送出版協会
【あらすじ】
地図には、それが作られた時の地表の様子や行政上の境界や地名(著者はこれらをまとめて景観と呼ぶ)が記されている。が、地図作成時点の景観は、それ以前のさまざまな時代・時点の景観の大部分または一部を景観の残片として受け継いでいる。本書では、歴史地理学の研究手法を用いて過去の景観の残片を復元し、分かりやすく解説している。
【おすすめのポイント】
道路地図や地形図をはじめとする地図は単なる地図ではなく、いろいろな過去の事象や事実がそこに隠されていることを教えてくれる。
【こんな人にすすめたい】
市町村合併などで安易な新地名が続出しているのが気になる方に。

ザ・ベストテン     東京放送
【あらすじ】
TBSで放送された人気歌番組「ザ・ベストテン」の記念アルバム。昭和53年から平成元年9月28日までの放送分を収録。
【おすすめのポイント】
全国の県立図書館に寄贈された非売品なので、他ではなかなか見ることができない一冊です。
【こんな人にすすめたい】
毎週この番組を楽しみにしていた人。昭和が懐かしいと思う人。

日本書紀の謎を解く   森 博達/著   中央公論新社
【あらすじ】
720年に完成した日本最古の文献の一つである日本書紀の音韻、語法を分析し、全30巻が大きくα群、β群の2つのグループに分けられることを明らかにする。正格漢文によるα群は渡来中国人が著し、漢文の誤用が目立つβ群は日本人によると推定する著者は、α群→β群の順に成立したと考え、さらに具体的な述作者の推定に踏み込む。
【おすすめのポイント】
あとがきで著者が「私はこの本を書くために生まれてきた」気がすると書いているほどの自信作。確実に信頼できる(と思われる)研究成果の生み出される過程をたどることができ、感動的です。
【こんな人にすすめたい】
日本古代史に関心のある人。漢文に興味のある人。

ニッポン日記   マーク・ゲイン 〔著〕   筑摩書房
【あらすじ】
1945年12月に来日し、以後1年あまり滞在した筆者が見た敗戦直後のわが国の社会・政治状況の記録。
【おすすめのポイント】
現代のわが国にとって、1945年以降の戦後改革が持つ意味は大きいと感じられているが、ゲインのこの著作は、アメリカを主体とするGHQの改革要請をなにかにつけて実行を渋り、抵抗する日本側の姿勢が浮き彫りにされており、わが国にとって戦後改革が持った意味を改めて考えさせてくれるものである。
【こんな人にすすめたい】
教育改革・構造改革等「改革」ばやりの昨今だが、そうした一連の「改革」の原点ともいえる「戦後改革」を考えてみたい人に。なお、訳者は戦時中、中国で『日本十進分類法』の考案者である「もり・きよし」とともに企業図書室の整備に意を尽くした人物である。

オックスフォード運河の殺人   コリン・デクスター 著   早川書房
【あらすじ】
キドリントン、テムズ・バレイ警察署のモース主任警部は飲酒とタバコの悪習慣がたたって倒れ、入院生活を強いられる。同じ病室の亡くなった大佐が書いた「オックスフォード運河の殺人」という研究書を彼の妻から渡されたモースは、退屈しのぎに読み始める。それは、ビクトリア朝時代1859年に起こった事件で、ロンドンの夫の元へ向かう一人旅の乗客の女性を殺した罪で船員たちが死刑にされたというものだった。読み進めていくうちに幾つもの疑問が生じ、モースは真実の解明にのめり込んでいく。
【おすすめのポイント】
1世紀も前に起こった事件を寝たきりの状態で、集まった資料のみから推理して真実を解き明かすという設定がおもしろい。当時の船員達の待遇、移動手段や運賃などの知識も得られてなかなか興味深い。そして暴かれた新事実もあっと驚くもの。この作品はモース主任警部シリーズの8作目で、英国推理作家協会のゴールド・ダガー賞を受賞している。
【こんな人にすすめたい】
謎解きの好きな人

戦艦武蔵   吉村 昭 〔著〕   新潮社
【あらすじ】
1938年に起工、1942年竣工、1944年シブヤン海に没した、あの戦艦「大和」の同型艦、「武蔵」の建造からその最後にいたるノンフィクション。
【おすすめのポイント】
今年は戦艦「大和」が坊ノ岬沖でアメリカ軍の攻撃により沈没してから60年ということで、「大和」に関して言及されることがしばしばありましたが、昨年は、その同型艦である「武蔵」については、さほど話題にはならず、一年が過ぎてしまったかのようです。兄弟姉妹の一方が目立ってしまう場合が往々にしてありますが、ちょっとそうした感じがします。戦艦〜戦争については、さまざまな議論があるかとは思いますが、戦艦「武蔵」建造で培った技術は、戦後の造船王国・技術立国日本を支えたものだということはいえるのではないでしょうか。また、「武蔵」建造という国家的巨大プロジェクトが民間企業によって担われたことは、「官から民へ」という今日の流れを考えるうえでも参考になるのではないかと思います。
【こんな人にすすめたい】
プロジェクトX系がお好きな方へ。または、自分と同等ながらなぜか目立つ同僚・兄弟姉妹を気にする方へ。

瀬戸線の90年     郷土出版社
【あらすじ】
名古屋と瀬戸を結ぶ名鉄瀬戸線の開通以来90年の歩みをたどる写真集。
【おすすめのポイント】
愛知県図書館のすぐ南の名古屋城の外堀の中を電車が走っていたことを、あなたは知っていますか。現在30代以下の方には知らないという方も多いと思いますが、1976(昭和51)年に廃線になるまで、外堀の中を瀬戸線が走り、御園橋の西、現在駐車場になっているあたりに堀川駅がありました。鉄道関係のものに限りませんが、昔の風景を収めた写真集は、現在の様子と比較することにより、あそこにあんなものがあったんだ!という驚きを感じさせてくれます。そのような驚きを感じ、想像力をかき立てられることは、この上なく楽しい体験だと思います。同様の意味で『名古屋の市電と街並み』(トンボ出版,1997 A686/ニホ/738476 1107384765)もおすすめです。
【こんな人にすすめたい】
鉄道が好きな人、昔の名古屋や瀬戸に興味のある人、驚きを感じたい人。

戦争と野球:兵隊にされたプロ野球選手   川崎 徳次 著   ベースボール・マガジン社
【あらすじ】
戦前、戦後にプロ野球で活躍した著者の戦争体験記。
【おすすめのポイント】
プロ野球と戦争のかかわりが一選手、一兵士としての著者の視点をとおしてよくわかる。
【こんな人にすすめたい】
平和な時代に野球をすることの意味を考える人達へ

本能寺の変の群像   藤田 達生/著   雄山閣出版
【あらすじ】
織田政権の揺籃期から本能寺の変を経て豊臣政権の確立期までを描く。特に明智光秀、将軍足利義昭、公家衆、本願寺など諸勢力の動向を通じてク−デタ−の実像に鋭くせまっている。
【おすすめのポイント】
未解明事件の謎解きのような面白さがあり、本能寺の変の背景の大きさが理解できます。
【こんな人にすすめたい】
本能寺の変の背景について知りたい人 日本史ファン 織田信長ファン

よみがえる安土城   木戸 雅寿/著   吉川弘文館
【あらすじ】
滋賀県は1989年から20年計画で安土城跡を発掘調査しており、その最近までの成果を用いつつ著者の見解を織り込んで一冊にまとめたものである。
【おすすめのポイント】
幻の城として多くの謎につつまれていた安土城が近年の緻密な調査により、急速に解明されつつあり、これまでのイメ−ジを一新してくれます。写真と平面図が多く掲載されており、記事内容が理解しやすくなっています。
【こんな人にすすめたい】
お城に興味のある人(特に織豊期の城郭) 考古学や遺跡に興味のある人

軍艦島   雑賀 雄二/著   淡交社
【あらすじ】
軍艦島は、長崎港の南西約19キロ沖合いに浮かぶ周囲1.2キロの島(端島)。その島影が軍艦に似ていることから、軍艦島と呼ばれる。かつては、海底炭鉱として栄え最盛期の1960年代には、五千人以上が住んでいた。日本初の鉄筋高層アパートが建設されたのも、この島だった。 しかし、1974年の閉山以降、無人島になっている。 この本は、閉山後10年目に島へ渡った著者が撮影した軍艦島の写真集。
【おすすめのポイント】
人が去ったまま時が止まり、建物の風化が始まる。人々の生活の痕を時と塵が覆っていく。軍艦島は深い眠りについたようだ。
【こんな人にすすめたい】
写真又は軍艦島に関心のある人