@やっぱり本が好き!
読書の秋、あらためて本について探索してみませんか?
そして、本との出会いの場である図書館についてもっと知りたいという方に。本及び図書館に注目してそろえてみました。
遅読のすすめ 山村 修/〔著〕 新潮社
【コメント】 やっぱり本が好き!と再認識させられました。本好きが高じると、つい新刊漁りをしがちで。まるでエコノミックアニマルのラットレース(儲かったら設備投資し、働き続けることが人生の目的)みたいに、読書が条件反射になり、意図をうしなった自分に気づかされます。読んだ結果じゃなく、読む過程に意味をみつける(壺中の天、アフォーダンス、赤の女王仮説)こと。後者を選択するか否かは個人判断として、意識することの価値を考えさせられるとおもいます。本好きな方にはきっと共感していただける一冊かと。 (名古屋市在住の方からのコメントです) |
おはようどうわ 10 わすれない夢 東 君平/著 サンリオ
【コメント】 これが“どうわ”なの?と思うくらい短いお話がいっぱいつまっています。 挿し絵の切り絵は斬新でなつかしい気持ちにさせられます。お話も誰にでも、どこにでもある日常が語られていますが暖かくてやさしいそれでいて鋭い洞察力に『はっ』とさせられます。 ちょっと疲れたなあーと思う子どもさん〜大人の人におすすめします。 (豊田市在住の方からのコメントです) |
百年の誤読 岡野 宏文/著 豊崎 由美/著
ぴあ 【あらすじ】 20世紀の100年間でベストセラーや話題となった本を読み解く、文芸対談。 【おすすめのポイント】 世間の評価など関係ないとばかりに、言いたいことを言う対談が面白い。また、年代ごとに話題になった本を見ていくと、その時代を反映しているようで興味深い。 【こんな人にすすめたい】 本が好きな方。 |
チャリング・クロス街84番地 ヘレーン・ハンフ 編著
講談社 【あらすじ】 ニューヨーク在住の脚本家ヘレーンとロンドンの古書店マークス社・フランクとの往復書簡集。フランクとの古書購入のやりとりに私信も交えるようになり、それはフランクの死まで約20年続く。 【おすすめのポイント】 ヘレーンとフランク始めマークス社の社員たちとの手紙を通した心あたたまる交流や、英文学の名作を多数紹介。 【こんな人にすすめたい】 本の好きな人、特に英文学 |
妊娠小説 斎藤 美奈子 著
筑摩書房 【あらすじ】 「(望まない)妊娠」を登載した小説はすべて「妊娠小説」である…!という仮説のもと、大胆に新ジャンルを確立、鮮やかに分析。 【おすすめのポイント】 斎藤美奈子氏は他にも多数の文芸批評本を出していますが、私のおすすめはこれ! 意地悪な視点で、あの名作もこのベストセラーも切って捨てます。面白いです。 【こんな人にすすめたい】 ちょっとひねくれ者の方に |
本の神話学 山口 昌男 著
中央公論社 【あらすじ】 文化人類学者山口昌男による現代人文学の読書案内。ワイマール文化からワールブルク研究所とそれにつらなる研究者(ゴンブリッチ、パノフスキー、カッシーラ等)を、ロシア・フォルマリスムからメイエルホリド、ユダヤ系亡命知識人達を、そして音楽、芝居、映画へと話題は広がっていく。 【おすすめのポイント】 著者の提示した魅惑的なテーマに関わる本と人が連なりながら、次々に紹介され解き明かされる。30年以上前の知の案内書であるが、今でもその耀きを失ってはいない。 |
書物捜索 上 書物捜索 下 横山 重 著
角川書店 【あらすじ】 『室町時代物語集』『古浄瑠璃正本集』などの正確な校訂、活字化に生涯を捧げた国文学者の古書探索の日々の活動記録であり、学問と古書をめぐるエッセイ集である。昭和8年から一時の中断を経て昭和36年まで、『三田文学』『新文明』に138回にわたり連載された。 【おすすめのポイント】 古書といってもこの本に出てくるものは主に室町時代後期から江戸時代初期の超一級の善本。著者は最良の活字テキストを作るために、全国の古書店から情報を集め、足を運び、古書を求める。古書店主との様々なやりとりや、蒐集家とそのコレクション、そして本そものものについて、著者の談話を聞くように読める。 |
図書館の社会理論 マイケル・H・ハリス 著
青弓社 【あらすじ】 アメリカの図書館学研究者、マイケル・H・ハリスの論文2本を翻訳し、それに訳者根本彰氏(図書館学研究者)の解説「社会科学としての図書館研究」を付したもの。 【おすすめのポイント】 図書館または図書館学については、いろんな研究がありますが、どちらかといえば図書館的情報科学的世界の中で完結しているものが多く、図書館外の、いわゆる社会との関係を扱ったものは少ないようなのですが、その少ない中の1冊。学術論文をまとめたもので、決して読みやすくはないのですが、図書館を社会科学の視点から読み解くためには必須かな、と思います。 【こんな人にすすめたい】 図書館情報学研究を目指す利用者の方、とくに学生・院生の方に。あと、社会との関係で図書館を解読したい図書館職員の方に。 |
児童文学の世界(河合隼雄著作集 4) 河合 隼雄/著
岩波書店 【あらすじ】 河合隼雄が心理療法家の立場から児童文学を読み、人間の「たましい」について語ります。 【おすすめのポイント】 河合隼雄は難しいことを分かりやすい日本語にする天才だと思います。児童文学のガイドとしても一流ですが、ユング派の入門書として読んでも面白いのでは。 【こんな人にすすめたい】 心理療法に興味のある人。ファンタジー好きの人。 |
日本十進分類法 本表編 日本十進分類法 一般補助表・相関索引編 もり きよし 原編
日本図書館協会 【あらすじ】 日本十進分類法、通称NDC、日本の図書館等で使われている本などを分類するための道具です。 【おすすめのポイント】 この世にある、ありとあらゆる本、それは「人類の知識」といいかえてもいいかと思いますが、その知識をいかにして整序し、いかにして利用するのか、ということを目的とした本。内容は、知識を区分けしていったもので、一見、語句と数字の羅列なんですが、人間が関わっている知識がいかにたくさんの範囲なのかを教えてくれます。寝ころびながら、文献が織りなす宇宙に思いをはせるにはベスト。ちょっとした睡眠薬かわりにはなるかも。でも、残念!参考図書なんで貸出できないんです。すいません。 【こんな人にすすめたい】 本を愛する全ての人に。 |
電子図書館の神話 W.F.バーゾール 著
勁草書房 【あらすじ】 電子図書館化、あるいはネットワークがいかに進展しようとも、「場所としての図書館」は衰退はしない!と。 【おすすめのポイント】 電子資料の氾濫とネットワーク=インターネットの爆発的な普及の中でも、図書館は成り立っていけるんだということを論証していて、一読、それなりに図書館という場で働くものにとっては有意義なものですが、これ図書館という装置の社会化に一番成功しているアメリカの議論なので、わが国の図書館の場合にあてはめていうことができるのか、という点では? ただ、図書館先進国アメリカの事例から、わが国の図書館が抱える問題点を知らしめてくれるという点では有効な本かも。 【こんな人にすすめたい】 嵐のような電子化・ネットワーク化の前で途方に暮れかかっている図書館職員と利用者の方に(ただし、アメリカの事例という割引券つきで) |
日本古典のすすめ 岩波書店編集部 編
岩波書店 【あらすじ】 「万葉集」から「雨月物語」まで、日本の代表的古典文学を第一線の研究者たちが語ります。 【おすすめのポイント】 本当に第一線の研究者によって解説されているので、入門書でありながら、上っ面をなぜるだけの内容にはなっていません。かなり深い部分まで論及されており、読みやすくかつ本格的な古典案内になっています。 【こんな人にすすめたい】 日本の雅にこころを漂わせたい人。「あらすじで読む」本よりもうちょっと詳しく読んでみたい人。 |
図書館で考える道徳:書き込み被害をめぐって 諸橋 孝一/著
鳥影社 【あらすじ】 図書館から借りた本に書き込みがあまりにも多いことに気付いた著者が、区立図書館23館から550冊ずつを抜き出して汚損被害の調査した結果報告と、図書館に関する考察。 【おすすめのポイント】 1万冊以上の本を調査した著者の執念に驚きと賛嘆を禁じえないが、調査そのものより、図書館の存在意義や図書館の利用に関する考察が秀逸。著者は図書館関係者かと思わせるほど、いささか図書館側に立った見解も見られるが、一般利用者としてのこれほどまで図書館を理解されている方はいないだろう。 【こんな人にすすめたい】 図書館をよく利用される方で、「なぜこんなルールがあるの?」と疑問を感じている方。 |
石神井書林日録 内堀 弘/著
晶文社 【おすすめのポイント】 『石神井書林目録』は私が最近最も愉しみにしている古書目録です。といっても、そこに出ている本を買うわけではありません。日本のモダニズムにかかわる様々な本や雑誌が、ちょっとした展覧会の展示のようにならんでいるのを眺めて愉しんでいるのです。 この本は、その目録の発行者石神井書林店主内堀弘が古本屋の日々を記したものです。内堀は『ボン書店の幻』(白地社 1992年 請求記号023.06 /ウチ/608034)という、昭和の初期のモダニズム出版社と出版人鳥羽茂を追った著書(これもお薦めです)もあるモダニズム詩の研究者でもあります。 そんな著者の日録ですから、古本を売る話ではなく、古本、それもモダニズム、近代詩に関わる本や雑誌を買うはなしがメイン。「本を買いすげて潰れた本屋はない」そうです。そうして買われた本は、周辺の資料や、時には思わぬ本と関連付けられ、古書目録での座り場所を見つけていきます。 【こんな人にすすめたい】 モダニズムに興味のある人、古本好きの人、そして古本屋になって見たい人におすすめします。 |
読む力は生きる力 脇 明子/著
岩波書店 【あらすじ】 子どもの読書離れが言われるようになって久しい。一方、朝読など子どもの読書を推進しようとする動きも多々ある。しかし、本当に子どもにとって読書は必要なのか?長年、大学生を教え、「子どもの本の会」を主宰してきた著者がやわらかい語り口でこの疑問に答える。読む力とは?、子どもに良い本を手渡すとは?納得の出来る答えがここにある。 【おすすめのポイント】 子どもにとって、読書をする事にどんな意味があるのか?子どもにどんな本を手渡せばいいのか?ブックスタートは必要なのか?こんな疑問に丁寧に答えてくれる本。 【こんな人にすすめたい】 子どもに読む力をつけたいとお悩みのあなたに。子どもの本の選び方は難しいと密かに悩む司書のあなたに。 |