平成24年度 秋の図書館探検ツアー レポート

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秋の図書館探検ツアーについて

愛知県図書館では、毎年中学生以上の方を対象とした図書館の裏側をご案内する探検ツアーを実施しています。今年は秋の読書週間期間中に2回実施しました(小学生向けは夏休みに実施)。イベントのお知らせはホームページのほか、ちらしを県内の公立図書館に配布しました。今回は事前の申込み制で受け付けました。最近ではインターネットによる申込みが半数以上となっています。ツアーは11月2日(金)、11月3日(土祝)の2回開催しました。参加者は全部で12名で少人数の班に分かれて図書館の裏側を探検しました。高校生から70才以上の方まで幅広い年代層の方が参加されました。
※図書館探検ツアー募集のちらし

●当日の様子

初めて来館される方は開架部分を見て「たくさん本があるなあ」という印象をもたれることがありますが、これだけではありません。実は、蔵書の3分の2は地下の書庫にあるのです。書庫の資料はカウンターで請求を受け付けて職員が資料をとりにいくのですが、今回はその受け付けた後をたどってみました。申し込まれたレシートは細長いカプセルに入れられてチューブを通って地下の書庫に到達します。ここはレシートが到達する場所です。

書庫では当番の職員が申込みレシートを持って資料を取りに行きます。書庫は4階建てになっており、約125万冊の収蔵能力があります。この写真の場所は集密書架といって書架と書架の間の隙間がなく、本を取り出すときには通路を空けるため電動で重たい書架が一斉に動きます。1日平均400冊前後の書庫資料が請求され、出し入れをしています。書庫の中は広いので、職員は走り回っています。

雑誌のバックナンバーが並んでいる場所です。前身の文化会館愛知図書館(名古屋市東区東桜)時代の蔵書もあります。受け入れた資料は基本的に廃棄せずすべて保存されています。学術的なものだけでなく、時事性のあるものや娯楽的な雑誌もあり、昔の週刊誌など興味深いものがあります。新聞も各種バックナンバーがあります。検索が便利なデータベースも一部ありますが、やはり紙ベースの資料もまだまだ利用が多い資料です。事件や事故の報道もさることながら、過去のテレビ欄や新聞広告も時代を感じさせる資料です。

書庫から出した資料は、コンテナに入れられ、専用のコンベヤで各階に運ばれます。この写真はコンベヤを見学しているところです。地下2階から5階までを回転させている結構大掛かりな装置なのでみなさん驚いています。各階のカウンターの中で「ガタッ」と音がしたら、書庫から資料が届いた音かもしれません。到着した資料はレシートと照合してから申込みされた方をお呼びします。通常受付からお渡しするまで10〜15分程度かかります。

マイクロフィルムは、例えば今の新聞であれば1か月分が10センチ四方のケース1個分に収まるサイズになり、コンパクトに保存できる利点があります。昨今では資料の電子化が進んでいますが、まだまだすべての資料が電子化されていないので戦前の新聞などがよく利用されています。明治初期の新聞など貴重なものもあります。

貴重書庫の中も見学しました。ここには主に近世・近代の和本や絵図類が収められています。写真でみているのは当館で最も古い出版が確認されている蔵書で、1608年にオランダで刊行された植物図譜であるドドネウス著『草木誌』です(Dodonaeus『Cruydt-Boeck』)。貴重書庫は一定の温度・湿度を保つように分厚い扉で仕切られ、複写の禁止や指定場所での閲覧など利用の制限をしています。貴重な資料はデジタルアーカイブ化を行い、順次インターネットで公開しています。当館HPの「絵図の世界」「絵はがきコレクション」「貴重和本デジタルライブラリー」などでご覧いただけます。


新刊本を選ぶ部屋です。毎週新刊本の一部が届き、各フロアの司書が現物に目を通して蔵書構成を考えつつ本を選んでいます。市町村図書館にくらべて資料が硬めだといわれますが、市町村図書館のバックアップという使命も担っている県立では少し専門的な資料を選び、市町村図書館へ貸出できるようにすることも考慮にいれています。また、幅広く収集するといった意味で、実用書や娯楽に関する資料も選ばれています。図書館では新刊以外にも、既刊本や古書、寄贈などのさまざまな経路で資料を選択し、年間約2〜3万点の資料を受け入れています。もちろん、リクエストにより購入する場合もあります。

視覚障害者資料室です。みなさんがのぞいているのは点字資料です。ボツボツした点字を実際に指でなぞって体験していただいています。ボツボツは案外細かくて指で読み取るのがむずかしいという声もありました。現在では音声によるサービスが主流で、対面朗読や録音テープ、最近ではデジタルデータの入ったデイジーがよく利用されています。市販資料では補えないものは求めに応じて録音資料を作成しています。

相互貸借の発着を行う場所です。愛知県内の市町村図書館に週1回定期便として本のやりとりをしています。地元の市町村図書館で所蔵していない資料をリクエストした場合、愛知県図書館や県内の図書館から取り寄せることができます。市町村図書館間の貸出・返却も一度愛知県図書館を経由して送られています。また、岐阜・三重・石川・富山の各県立図書館にも週2便あり、東海・北陸地区の公立図書館の資料を広く利用することができます。

市町村図書館別の仕分け棚です。参加者のみなさんは自分のよく利用する図書館がないか探しています。市町村図書館だけでなく、アートライブラリーや名古屋大学などにも定期便があり、公共図書館の枠を超えたより専門的な資料のリクエストにも対応できます。定期便の範囲外の図書館には個別に発送し、北海道から沖縄まで全国の図書館とのネットワークを実現させています。

本の修理を見学しています。当館では、修理可能な資料は自前で補修しています。今回は途中のページが抜けてしまったものの修理を実演しました(平日見学のみ)。一度本体と表紙をはがして一枚ずつ分解し、糸で綴じなおして元へ戻します。最近では無線綴じといって糸を使わない製本のものが多いのですが、よく利用されるほどページがとれやすく修理が必要になる場合が増えています。結構大胆に本を分解する作業にみなさん興味津々。たくさん質問をいただきました。


参加者の皆様、どうもありがとうございました。

☆☆☆☆☆参加者の皆さんの感想です☆☆☆☆☆

・「普段疑問に感じていたことが聞けてよかった。裏のお仕事も拝見して勉強になった。」
・「丁寧な説明ありがとうございました。他の図書館も見てみたいと思います。」
・「とても楽しかった。製本の本探して帰ります。(製本の)やり方の説明会などして頂けたら嬉しいです。」




愛知芸術文化センター 愛知県図書館

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